【阪急沿線おしらべ係 第75回】
ファンクラブ会員限定「新旧2301編成 撮影会」に潜入!阪急電車愛に触れた一日
【2025年8月配信】
このコーナーでは読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。
今回のお便りはこちら。
公式ファンクラブ会員限定の特別なイベントがあると聞き、気になっています。
どのようなイベントがあるのですか?
公式ファンクラブとは、「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」のことですね。
「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」のサイトはこちら
https://fanclub.hankyu.jp/
阪急電鉄ではファンクラブ会員限定イベントを実施していますが、そのうち2025年6月15日に、正雀車庫で開催されたファンクラブ会員限定「新旧2301編成 撮影会」に参加して、特別に取材させていただきました。
参加者から好評を博したイベントの様子を、たっぷりとお届けします。
正雀車庫にてさっそく取材スタート
今回取材にご協力くださったのは、「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」の運営に携わる阪急電鉄のお二人です。
お二人とも2025年4月から「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」の業務に携わることに
写真左は辻智啓(つじともひろ)さん。1989年入社。技術部に配属され、主に宝塚線の車両の保守・点検業務をご担当。現在はえきまち事業部にて、旅客誘致やイベント運営、経理など幅広い業務に携わっておられます。
写真右は小村直実(こむらなおみ)さん。1985年入社。技術部にて、正雀工場や京都線の車両の保守・点検・整備、車両指令所などで多岐にわたる車両管理の業務をご担当され、メディア取材対応もこなすベテランです。
「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」については、えきまち事業部が企画運営の業務全般を行い、そのうち車両や車庫にまつわるイベントなどは、技術部と協力して取り組まれています。
「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」ってどんなもの?
はじめに、ファンクラブについて教えていただきました。
「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」は、1997 年に日本の鉄道会社として初めて設立された公式ファンクラブです。すでに28年の歴史があるのですね。
2025年4月のリニューアル時に新たに制作した「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」のロゴマーク
会報誌の発行や会員限定イベントの実施、阪急レールウェイフェスティバルの優先案内、イベントの先行抽選など、特典が盛りだくさん。
2025年4月に行われたリニューアルでは、ファンクラブ公式WEBサイトや「キッズ会員」コースが新設されたほか、入会記念オリジナルグッズの進呈など会員特典が拡充しました。
ファンクラブ会報誌。一番左は1997年発行のVOL.1(創刊号)
ファンクラブ会報誌VOL.1。阪急電車の車体色のルーツなど、様々なトピックスが全12ページで紹介されています
ファンクラブ会報誌VOL.2には、1960年に撮影された旧2301編成の写真も掲載されていました。阪急電車ファンならずとも興味深い内容です
現在は、長年の阪急電車ファンから小さなお子様まで、さまざまな会員がいらっしゃるそうです。
応募者多数、注目のファンクラブ会員限定「新旧2301編成 撮影会」に潜入!
ファンクラブについて教えていただいたところで、さっそく正雀車庫でのファンクラブ会員限定「新旧2301編成 撮影会」に参加してきました!
イベントは3部制で実施され、各回抽選で選ばれた約200名が参加
今回の目玉は、なんといっても新旧2301編成の同時公開です。
1960年より京都線で活躍し、現在正雀車庫で保存されている2301編成と、2025年3月25日にデビューした2301編成が、正雀車庫配車線に並べて留置されました。
さらに、事前告知されていなかった9300系もサプライズで登場です!
写真左から京都線9300系、旧2301編成、新2301編成
車体はいずれも阪急電車らしい伝統のマルーンカラーですが、こうして見ると車両それぞれの個性がありますよね。行先表示器や屋根の色をはじめとする細かい違いに、阪急電車の歴史と変遷が感じられ、胸が熱くなりました!
同じ車番の新旧車両が並ぶのは大変貴重な機会
今回の見どころについて、辻さんによると「阪急電車の同じ車番の新旧車両が並ぶことは、これまでにはありえなかった貴重な機会です。
旧2300系は、7000系までの阪急電車のスタイルを確立させた車両です。マルーンカラーの車体はもとより、窓枠にアルミサッシをあしらい、現在の車両にも通じるところがあります。
また、旧2300系は当時としては画期的な制御機能を備え、鉄道友の会が優れた車両におくる『ローレル賞』の第1回受賞車両なのです。
1960年デビューの2301編成と2025年デビューの2301編成、同じ車番の65年の年月を感じていただけたらと思います」。
旧2300系は、京都線をはじめ、神戸線や新幹線の線路を走ったこともある車両
旧2300系の外観
イベントの途中には、運行標識板が交換される演出も
阪急電鉄公式YouTubeチャンネル「【公式】阪急電車ファン全員集合!」の阪急電車館館長が司会進行役を務めます
イベント開始から30分後、9300系を後方に待避させ、新旧2301編成のツーショット撮影タイムがスタート
参加者のみなさんは、お互いに場所を譲り合いながら撮影を楽しんでおられるご様子。小さなお子様や女性の方もおられ、終始和やかな雰囲気でした。
長年のファンからは、旧2300系が活躍した当時を懐かしむ声が聞かれました
サプライズ登場した9300系には衝撃の見どころが…!?
ところで、なぜ今回9300系がサプライズで登場したのでしょうか?
後日小村さんにお聞きしたところ、9300系にはひそかな注目ポイントがあったのだとか。
この写真を見て何か気づきますか?
「9300系はこれまでクロスシート仕様でしたが、2025年7月19日からロングシート化した9300系の運行が始まりました。
それに先がけて、実は6月15日の『新旧2301編成 撮影会』で、ロングシート化した9300系をこっそり初お披露目していたんです。
今回は車外からの撮影会だったうえ、事前告知をしておりませんでしたので、気づいた方は少なかったのではないでしょうか」と衝撃の事実が判明。
クロスシート:座席が進行方向(あるいは対面)を向いて設置されているもの。
ロングシート:座席が車体の側面に沿って設置されているもの。
矢印のあたりに注目
「ヒントは、窓ガラスの下の方に見える黒い帯です。元々クロスシート仕様である9300系は、ロングシート仕様の車両に比べて、窓ガラスがタテに少しだけ長くなっています。そのため、9300系にロングシートを設置すると、窓ガラスの下の方に座席の背もたれが見えてしまうんです。その背もたれをスマートに隠すために、窓ガラスと背もたれの間に黒い帯を施しているんです」と小村さん。
なかなかマニアックなポイントですが、みなさんはお気づきになりましたか?
正雀車庫にしかない「阪急ミュージアム」も特別公開
「新旧2301編成 撮影会」では、往年の阪急電車のカットボディ(車両の一部分をカットしたもの)を保存している正雀工場内の「阪急ミュージアム」も公開されました。
100形(P-6)車両、300形車両、900形車両、5200系車両、能勢電鉄1形車両などのカットボディを展示
過去に活躍した車両を間近に見られるとあって、こちらも大盛況。
一部のカットボディは内部に入ることもできました
昔の貴重な車両に出会えたり、普段乗っている電車をじっくり撮影できたりするのは、イベントならではの醍醐味ですね。
参加者のリアルな声を聞いてみました!
イベント当日、参加者に感想をお聞きしました。
2歳の頃から阪急電車が好き!と話してくれた10歳の男の子は、
「昔の阪急電車も、新しい阪急電車も両方あって最高です!昔の電車が美しいまま残っているのもすごいと思いました。2つの2300系を見比べると、ドアも違っていました!」と、楽しみながらさまざまな発見ができたそう。
「2歳の時にはすでに阪急電車のグッズを身につけていたくらい、ずっと好きなんだよね」とお母さん
そして、阪急電車ファン歴1~2年という20歳の男性は、このイベントのために、お住まいの東北からお越しになったそうです!
「めったにない新旧2301編成を見られて、9300系がサプライズで登場したのもうれしかったです。途中でヘッドマークを入れ替えてくれるなど、スタッフの方も阪急電車が大好きな方ばかりなんだと感じました。あっという間でしたが、充実していました!」と話してくれました。
修学旅行で関西を訪れた時、阪急電車を見て良いなと思ったことがきっかけでファンに
こうして、約1時間のイベントが終了。
大人はもちろん、小さなお子様もスマートフォンやキッズカメラで撮影を楽しまれている姿が印象的でした。
担当者にこれからのファンクラブについてお聞きしました
ファンクラブの運営に携わるお二人に、今後のファンクラブについてお伺いしました。
「阪急電車をずっと好きでいてもらえるよう、これからもファンの方に喜んでいただけるイベントの企画や、ファンクラブ会報誌のさらなる充実などに取り組んでいきます」と辻さん。
イベント中にはファンの方との交流も
小村さんも「イベント当日、参加者の方が『貴重な新旧車両を並べてくれてありがとうございました』と声をかけてくださり、喜んでいただけたことを実感できてうれしくなりました。今後もファンのみなさまに喜んでいただけるよう、飽きのこないさまざまなイベントを企画していきたいと思っています」と話します。
イベントも安全第一。社員がおのおの配置について会場を見守ります
今回のように、お客様の安全のために募集定員が設けられる場合がありますが、今後もさまざまなイベントを開催予定とのこと。続報をお楽しみに!
まとめ
阪急電車が大好きな方ばかりの空間で、貴重な車両の数々に出会えた今回のイベント。取材を終えた今も、当日の写真を見返しては、感慨深い気持ちに浸っています。きっとこの先も忘れることのない、大切な思い出の1ページになりました。
「阪急電鉄鉄道ファンクラブ」について気になる方は、ぜひこちらからチェックしてみてください。
https://fanclub.hankyu.jp/
また、辻さんは阪急レールウェイフェスティバルの運営も担当されています。そちらを詳しく取材させていただいた記事はこちらから
https://cdn.hankyu-app.com/content/article/2024/article_12.html
阪急電車館館長が出演する阪急電鉄公式YouTubeチャンネル「【公式】阪急電車ファン全員集合!」はこちらから
https://www.youtube.com/channel/UCly6FCcclDVBobU3L41-wQQ
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。
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