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【阪急電車おしらべ係 第25回】「C号線」と呼ぶのはどうして?

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【2021年6月配信】

読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係のトッコが調査する「おしらべ係」。

前回の調査では、単線で走る嵐山線には、複線跡があることを解明しました(→記事はこちら)。

その嵐山線へ行くために乗り換えるのが桂駅。桂駅について、複数の読者の方からこんな質問をいただいていました。

いつも阪急電鉄を利用していて気になるものがあります。京都線・桂駅の嵐山線はなぜアルファベットの「C号線」なのでしょうか?

阪急電車の線路は、数字で1号線、2号線と番号が振られています。

過去のおしらべ係で、淡路駅には1号線がなかったり、十三駅は実は9号線があったり、線路の謎について取り上げてきましたが、まだ、ありました。今度はC号線です。

どうして数字ではないのか?

AでもBでもなく、なぜCなのか......?

深まる謎を解明しに行ってきました!

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まずは現場をチェック。桂駅へ

早速やってきた桂駅。

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ホームの案内板を見ると......

京都河原町方面行きのホームが2・3号線、大阪梅田方面行きのホームが4・5号線、嵐山方面行きのホームには、1号線、その隣に「C」と書いてあります。

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他の駅にはない、アルファベットの号線表示。改めて見てみると、ものすごく特別感があるように思えてきます。

それでは、C号線のホームに降りてみましょう。

1号線には、嵐山へ向かう電車が停まっています。

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向かいのC号線側は阪急電車の桂車庫と接していて、目の前が洗車場になっています。この日もスタッフの方が作業中。阪急電車の「裏側」をのぞき見しているようで、ちょっとテンションが上がります。

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しばらくホームに立ってC号線の様子を観察。

しかし、1号線は電車が入ったり出たりしているのに対し、C号線には、電車が入ってくる気配はありません。

車庫が隣。それがヒント

「もともとC号線は、車庫内の線路だったんです」

今回も、おしらべ係の質問に答えてくださったのは、阪急電車の歴史を知る、運輸部の上田さんです。

車庫内の線路も、営業用の線路と同じく管理用に番号が付けられています。上田さんが探して来てくださった昭和30(1955)年の古い線路の図を見ると、桂車庫内に「C線」が表記されています。本線と車庫をつなぐ唯一の線路で、入出庫に使われていたようです。

「車庫内の線路が、いつしかお客様が乗車する列車用に使われるようになり、名称はそのまま残ったんです」

なるほど。そういうことだったんですね。

ところで、先ほど現地でC号線をしばらく観察してみましたが、電車が入ってくる気配はありませんでした。C号線はどんな時に使われているのでしょうか?

駅の時刻表によると、早朝にC号線から電車が出発しています。

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他にも、一部列車の降車専用として使われたり、行楽シーズン時に運行する嵐山行きの臨時列車が停車したり、活躍しているそうです。

C号線があるならば、A・B号線もある?

C号線があるならば、A号線やB号線もあるのでは!?

そんな風に思われる方も多いかもしれません。

しかも、現在のC号線の隣には、並んでもう1本線路がある......

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ということは...これがB号線なのでは!

「C号線の隣は、車庫内の15番線ですね」

残念。違いました。

先ほど見せてもらった昭和30(1955)年の古い線路の図を見てみると、桂車庫の構内線として、C号線の隣は「B線」、その隣に「A線」と記されていて、昔は存在していたようです。その後様々な経緯を経て、1979年にC号線の隣から15番線・16番線‥‥22番線として整理され、現在に至ります。

だがしかし。

D号線があるんですよ」

上田さん、D号線もあるんですか。

D号線は、1980年代に京都線で10両編成を運行するにあたり、10両編成に対応した折り返し線として設けられた線路で、桂駅ホームを大阪梅田方面に出発してすぐ、1号線を進んだ先(一番西側)に設けられています。

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80年代にあった桂駅大規模リニューアル

現在のように、C号線のホームが1号線(嵐山方面行き)と共通のホームになったのは、1980年代に行われた駅のリニューアル工事です。その内容は、10両編成の運行に対応するためのホーム延伸や、駅構内の線路の配線変更、改札の橋上化といった大規模なものでした。

駅構内の配線変更では、

工事以前は、桂車庫側(西側)から

京都本線上り(河原町方面)ホーム
嵐山線ホーム
京都本線下り(大阪方面)ホーム

という順番だったのを、

嵐山線ホーム
京都本線上り(河原町方面)ホーム
京都本線下り(大阪方面)ホーム

へと変更。

それも順番を入れ替えるだけではなく、桂車庫側(C号線側)に、以前からあったもう一つのホームを新たに嵐山線ホームとして整備し、京都本線の上り下りの各ホームが桂車庫側に1ホームずつずれる形での"引っ越し"でした。

下は、リニューアル前の桂駅から京都方面をとらえた上田さんの写真。

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一番左端の線路が、河原町方面、右隣が嵐山線になっています。

下は、リニューアル後の桂駅から京都方面を見た写真(名車2300系!)。

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一番左端の線路が、嵐山線、右隣に河原町方面の線路が見えています。

京都本線下り(大阪方面)ホームはどうなった?

ところで、駅のリニューアル工事で「ホームの引っ越し」が行われた際、全体的に桂車庫側(西側)へ1つずつホームが移動した、ということは、元々一番東側にあった「京都本線下り(大阪方面)ホーム」はどうなったのか??と疑問がわきますよね。

「京都本線下り(大阪方面)ホーム」は駅のリニューアル工事で廃止になり、駅直結の商業施設「ミュー阪急桂」が誕生しました。

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下の写真で右に写っている建物は、ミュー阪急桂です。たしかにここに線路があったら、京都河原町方面の線路に繋がっていく絵が想像できますね!

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まとめ

なぜC号線と呼ばれるのか。その理由は、車庫内にあった線路がそのまま旅客用に利用されるようになったから、でした。

何度も駅を通っているのに「言われてみれば不思議......」ということが意外とあります。みなさんも気になることがあったら、おしらべ係に投稿してくださいね。