【阪急沿線おしらべ係 第17回】
長岡天神駅付近にある「バナナセンター」には何がある?

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【2020年9月配信】

読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを調査する「おしらべ係」。

前回は阪急電車の車番について調べ、レポートしました。

「私も気になっていたんです!」という感想をいただき、疑問が解決してスッキリしていただけたら幸いです!

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さて今回の疑問はこちら。

長岡天神駅のホームから「バナナセンター」と書かれた看板が見えるのですが、何のお店か知りたいです。

「バナナセンター」という言葉からトッコがイメージしたのはこれ...

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バナナの叩き売り。

いや、まさか。

2020年に?

阪急沿線で?

叩き売っている?

その真相を確かめに阪急電車に乗って長岡天神駅へ行ってきました!

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バナナセンターに行ってみよう。

長岡天神駅は長岡天満宮の最寄り駅になる特急停車駅。駅周辺には飲食店や商店などが多くあり、人通りの多い街です。

長岡天神駅のホームに降り立ちあたりを見渡すと、駅前のビルの一つに発見。

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京都河原町方面側のホームから見える「バナナセンター」と書かれた建物は、目と鼻の先。改札を出て、バナナセンターに近づいてみましょう。

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3階建ての建物ですね。

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どうやら1階は喫茶店になっている様子。バナナのたたき売りの商人の姿はありません。

喫茶店の方に話を聞いてみよう。

早速中に入って、まずはコーヒーを注文。常連さんらしき人とお店の方の会話が落ち着いた頃、お店の方へ質問してみることに。

「このビル、バナナセンターって書いてありますが、どういう意味があるんですか?」

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「昔、ここでお店をやっていた時の名前なんです」

と、突然の質問に答えてくれたのは70代の店主のママ。

今から57年前の昭和38(1963)年、店主の親族がこの場所で果物店「バナナセンター」をスタートさせました。

今でこそバナナはスーパーで気軽に買える果物の一つですが、当時は高価なもので、例えるならメロンやシャインマスカットのような存在。人への贈り物やお土産として購入するような、日常的に食べる果物ではありませんでした。

そんな高価なバナナを「誰でも食べてもらえるように」という願いを込めて、お店の名前を「バナナセンター」としたのです。

当時、長岡天神駅周辺は鮮魚店や八百屋などの商店や旅館が並び、3階建てのバナナセンターは、このあたりでは一番高いビルで目立っていたとか。店先では、市場で仕入れたバナナを竹のカゴに入れて販売していたそうです。

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1979年3月9日の長岡天神駅の様子

その後1995年に、果物店「バナナセンター」は閉店し、喫茶店「カンパニュラ」としてリニューアル。

喫茶店に変わった後、「バナナセンター」という看板を外すかどうか、店主と店主のご主人とで話し合ったそうです。

お客さんの間では「バナナセンター」の名で通っており、お二人も愛着と思い出の詰まった看板を外すことに躊躇し、看板はそのままにすることに。今は、ビルの名前として残しているそうです。

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お店のカウンターには、バナナ

お店で見つけた道具

そんな話を聞きながら気になったのが、カウンターの横と窓際に置かれている道具。

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「これでコーヒーを抽出しているんです。うちの店はすべて水出しのコーヒーなんです」

喫茶店を始める際、「他ではやっていないことをしよう」と、水出しコーヒーを専門としたお店にすることに。ポタリ、ポタリと一滴ずつ、ゆっくりと4時間かけて、1本で10杯分を抽出しています。

水出しのコーヒーはお湯で淹れるよりも酸化しにくいため、胃に優しいのが特徴。

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とがった酸味などはなく、とてもまろやかで飲みやすい味。カウンターのそばの壁には常連さんが購入したコーヒーチケットがたくさんかかっていて、人気の高さがうかがえます。

地元の常連さんはもちろんのこと、駅前にあるので待ち合わせや電車に乗る前の一服にと、一見さんのお客さんも多いそう。今回トッコは初めて伺いましたが、隣に座っていた常連さんが気さくに話かけてくれ、和やかな雰囲気でした。

ところで、「バナナセンター」の名前の由来はお聞きましたが、お店の名前の「カンパニュラ」には、どんな意味があるのでしょう?

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「カンパニュラは"ツリガネソウ"のことで、「感謝」という花言葉があるんです。長岡の人は、本当に、みんないい人で。この喫茶店でみなさんに寛いでもらうことが、私の最後の仕事やと思ってるんです」

と、目を細める店主。

外の人間もすんなり受け入れてくれる懐の深い街、長岡。駅前で半世紀以上愛されてきたバナナセンターにあったのは、長岡の街と人を見続けてきた店主の、真心のこもった優しいコーヒーなのでした。

まとめ

駅のホームから見える「バナナセンター」の看板をきっかけに、長岡の穏やかな空気に触れた今回の調査。これからも「おしらべ係」では、みなさんが気になったモノをきっかけに知らなかった街の歴史や意外なエピソードを発掘し、新たな街の魅力を伝えていきます!

最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。

みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。

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