【阪急沿線おしらべ係 第14回】
神社で見つけた珍しいもの
【2020年3月配信】
阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを調査する「おしらべ係」。
前回は「黒い阪急電車を見かけた!」という情報を元に、西宮車庫に潜入してきました。
今回は、阪急沿線の街ナカで「気になったもの」を取り上げます。
「西宮市内に鎮座するある神社には、ちょっと珍しいものがある」ということで、早速現場へ行ってきました!
西宮市にある津門神社ってどんな神社?
阪急阪神国道駅から歩いて10分ほどのところにある「津門(つと)神社」。
静かな住宅街の中にあり、近所の方がお参りに来たり、幼稚園帰りの親子が通ったり、よくある地域の神社の光景が見られます。
津門神社は、百済から日本に機織りを伝来した、綾羽姫と呉羽姫が大日如来を迎えて奉安し創立された、といわれています。
近年は無人だった津門神社を、昭和36年、神社の運営や管理を行う現在の宮司さんのお父さんが引き受けることになり、今に至ります。
社殿の横には、ご神木の大きなクスノキが。
町を見守ってくれています。
気になるもの1、かわいい猫のキャラクター
そんな津門神社には、気になるものがいくつかあります。
その一つが、かわいい猫型の絵馬。
このゆる〜〜い雰囲気がたまらなくかわいい。
猫の絵馬は、現在の宮司である坂上さんが一つずつ手作りしたものなんです。
なぜ猫なんでしょう??
作者の坂上さんに聞いてみると......
***
話は、2013年の冬にさかのぼります。
「2月の寒い日、お風呂から出たら、部屋の中に猫のフンがあったんです。どうやら勝手口から野良猫が入ってきたみたいで。部屋中を探したんですが、見つからなかったんです」
その後、猫の鳴き声が聴こえてくることもなく「出ていったのかな?」と思いつつも、どこかにいそうな気配はある......。
約10日後。
坂上さんが部屋でくつろいでいた時、ふと顔を上げると...
クローゼットに、ついに猫を発見!
「やっぱりいた!」
白っぽい色をした、優しい顔の猫がいたそう。
猫は家の外に逃がしたのですが、
「知らない間に数日間を共に生活していたのか」と縁を感じ、
元々イラストを描くのが得意だったことから、その猫を模したキャラクターが誕生したのです。
名前は「ネコネギつとむくん」。
禰宜(ねぎ)=神職の職階で、宮司さんの補佐役のこと。
猫の禰宜が社務を「務める」という意味と、「津門(つと)」が由来です。
絵馬には
「猫の手を借りたいほど、仕事が忙しくなるように」
「たくさんの福を招く、招き猫となるように」
という思いが込められています。
「奉納せずにそのまま持って帰られる方もいらっしゃいます」
と、愛らしい手作りの絵馬はなかなか好評のようです。
宮司さんの絵的センス
坂上さんには、もう一つの趣味があります。
神殿に飾られたこちらの水墨画。
これもまた、水墨画教室に長年通っている坂上さんの作品で、波を描いたもの。
「ネコネギつとむくん」の制作時には、水墨画教室の仲間にアドバイスをもらったそうです。
ちなみに、お父さんも絵が好きな方だったそう。
神社の御朱印に押される獅子の絵は、お父さんが描いたものです。
親から子へ受け継いだ絵のセンス。
お2人共、優しいタッチなところが似ていらっしゃいますね。
こうした、ほっこり和む手作りのキャラクターがいると、神社をより身近に感じられそうですね。
気になるものその2、「百度石」ならぬ「萬度石」
神社の境内で見かける「百度石」をご存知でしょうか。
百度石は、境内の一定の距離を100回往復してお参りする「お百度参り」の際に、目印とする石です。参拝者は、石の横に棒や石を置いて数を数え、思いを込めてお参りします。
津門神社にも百度石があるのですが、
ここにはもう一つ、
「萬度石」があるのです。
なぜ「萬度石」なのでしょう?
「この萬度石は、銀婚式の記念に氏子さんが奉納されたと聞いてるんですが、詳しいことは分からないんです」
萬度石が奉納されたのは、現・宮司さんのお父さんの代の時。
お父さんはすでに亡くなっているため、詳細を知る人はおらず、また奉納されたご家族との繋がりもない今、真相は分からず......。
石碑の裏を拝見すると、こんな文字が刻まれていました。
どんな思いで奉納されたのでしょうか?
あくまで推測になりますが、
社会の平和や家族の幸せへの、深い深い感謝と永続を願う気持ちを、百でも千でもない「萬度石」に込めて、銀婚式という節目に奉納されたのかもしれませんね。
まとめ
猫との出会いで生まれたユニークなキャラクターが、密かに可愛がられている津門神社。
津門神社にあったのは「萬度石」ですが、津門神社から5分程のところにある松原天満宮には「千度石」もありました(インターネットで検索してみると、「千度石」は全国にいくつかあるようです)。
何気ない日常でもふと足を止めてよく見てみると、意外なものを発見したり、知っているようで実は知らないことがあったり。
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