【阪急沿線おしらべ係 第11回】
淀川で発見、とりどりな鳥
【2019年12月配信】
阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを調査する「おしらべ係」。
前回は阪急電車の車内から見える、曽根駅前のランドマーク「ヴァイキングビル」の潜入レポートをお送りしました。
今回の質問も、車窓から見えるこんな光景について。
「柴島駅と天神橋筋六丁目駅の間の淀川にかかる橋梁(上流側)のアーチに、カワウがたくさん止まっているのですが、なぜかいつも柴島側から3番目のアーチと4番目のアーチに集中して止まっています。理由を知りたいです」
人の多い梅田からすぐの淀川に、カワウが集まっている??
そもそも、淀川にそんなにたくさんの鳥がいるのでしょうか?
ちょっと調べてみようと、まずは、あの団体へ伺ってみました。
淀川で探鳥会が行われているらしい
そう、鳥と聞いて一番に思い浮かぶのが「日本野鳥の会」さんです。
大阪支部では、定期的に淀川で探鳥会を行っているとのこと。探鳥会が開かれるくらいなので、たくさんの鳥がいるのでは?と、期待がふくらみます。
そこで、11月に開催された探鳥会に参加してみることに。
集合場所の天神橋筋六丁目駅から北へ進んで淀川まで出たら、上流に向かって川沿いを歩く、約3時間のコースです(ゴールは城北公園)。
ちょうど、カワウが止まる橋梁のアーチも見えそうです。
(国土地理院の地図データを加工)
午前9時、天神橋筋六丁目駅をスタートして淀川の河川敷へ向かうと、
阪急千里線沿いの、カワウが集まるというスポット(青いアーチ)が目の前に見えました。
写真の右端に写っているのが、柴島側の1つ目のアーチです。
距離的に写真ではわかりにくいですが、
確かに、真っ黒なカワウが、柴島側から3番目と4番目のアーチのところに集中してとまっているんです!
ちょうど川の真ん中です。
ズームしてみると...
カワウがこんなにたくさん!!!
一体、どれくらいの数がいるのでしょう?
日本野鳥の会で、鳥の数を数えると言えば、コレ!!
カウンターで、野鳥の会の方が数えてくださったところ、この日は220羽もいました!
さて、本題は
川の真ん中にあたる3番目と4番目のアーチに、カワウがなぜ集中して止まっているのか?
ここは、大阪市立自然史博物館の学芸員で、鳥類の生息状況を研究している和田岳さんに聞いてみました。
.
「この場所はカワウの集団ねぐらになっています。川の真ん中に集まるのは、人間の影響を受けるのを避けるためかもしれません」
水に潜って魚を採食するカワウは群れで生活し、拠点となる「ねぐら」を鉄塔や高速道路の橋桁、木の上など、人が近づかない場所に作るそうです。
カワウが群れをなしている橋梁は水道管専用のため、人や車は通ることができません。
人の行き来がない橋の、岸から一番離れた川の真ん中=3番目と4番目のアーチをねぐらとしているのではないか、ということです。
また、カワウの数が多くなると、橋の端に止まることもあるそうです。
パラグライダーが上空に見えると、カワウが水面へと逃げていった
「カワウって、人間から見ると、ちょっとだらけた生活をしているんです」
そ、そうなんですか?
エサである魚を捕まえてお腹が満たされたら、その日の仕事は終了。後は、のんびりと過ごすそうです。
探鳥会で午前中に見かけたねぐらのカワウは、早々とひと仕事を終えてゆっくり寛いでいるのかもしれませんね。
淀川には、かわいい鳥がこんなにもいる!
いきなりお目当てのカワウと出合えたのですが、他にどんな鳥がいるのか、このまま探鳥会に同行してみましょう。
目線を下げると川面には
海ガモ類のホシハジロが集団でぷかぷかと漂っています。
かわいい!!
こちらはヒドリガモ。
「顔をうずめているのは、冷え防止のためなんです」と野鳥の会の方。
毛が覆われていないクチバシから熱が逃げないようにしているのだそう。
「あ、アオサギが釣り人の釣った魚をもらおうと待ってますね~」
じーっと釣り人を見つめているのが、何だか面白い。
ほかにも、空や水面、樹木、芝生、建物の軒下など、いろんな場所で鳥を発見。
この日は、37種類もの鳥を確認できました。
中でも今日のハイライトは、タヒバリという淀川では珍しい鳥を発見した時。
みなさん嬉々として、一斉に双眼鏡を向けていました。
ロシアから、ようこそ淀川へ
「冬の淀川では、主にカモメ類やカモ類などの"冬鳥"が多く見られます」と言うのは、日本野鳥の会大阪支部の支部長、松岡さん。
淀川に、一年で最も鳥が集まるのは冬の時期。
"冬鳥"というのは、夏にロシアや中国で繁殖し、越冬のためにはるばる日本にやってくる鳥のことです。
特に、ユリカモメやセグロカモメ、キンクロハジロやホシハジロなどが、淀川で観察できるそうです。
何千キロも離れた場所から、こんなに身近な淀川まで鳥たちが訪れていたとは!
探鳥会で見かけたユリカモメ
ほかにも、夏になると、東南アジアから繁殖のためにやって来る「夏鳥」
8月から秋にかけては、
これまで何気なく視界に入っているだけで景色の一部だった鳥たちの中に、長い旅の果てにたどり着いた鳥もいるのか......と思うと、何だか感慨深くなります。
まとめ
毎日電車で通るという人も多い淀川で、こんなにもたくさんの鳥が見られるとは意外でした。
冬は最も鳥が集まる季節なうえ、木の葉が落ちるので鳥を観察しやすい時期でもあるそう。
たまには電車の中から窓の外に鳥を探してみたり、探鳥会(初心者でも優しく教えてもらえます!)に参加してみたりするのも、楽しいのではないでしょうか。
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