【阪急沿線おしらべ係 第4回】
桂駅付近にある屋根に乗っている車の正体!
【2019年5月配信】
みなさんが阪急沿線で「なんか気になる!」と思ったネタを元に、阪急沿線おしらべ係のトッコが調査してレポートする「阪急沿線おしらべ係」。
歩いている時や、電車での移動中にふと、
「これ何だ?」
と思うものってないでしょうか?
今回は「阪急電車に乗っている時に気になったもの」を調査してきました!
「桂駅付近を通った時、屋上に車が乗っている建物が見えました。何なのか気になります」
という情報をいただきました。
早速、阪急電車に乗り込んでトッコが調べてきました!
車窓から一瞬見えるオレンジ色の車
梅田駅から阪急電車に乗って、桂駅へ。桂駅に到着する手前、左手の窓の外を見ると、
建物の上に乗ったオレンジ色の車が、確かに見えます。
本当だ!なんで屋上に!? と、頭の中で状況を整理しているうちに見えなくなってしまい、桂駅へ到着。
この車、何のために屋上にあるのでしょうか?
看板らしきものも見えますが、何の建物なのでしょうか??
桂駅で降りて、あの車の方面へ
西出口を出て、さっき見かけたポイントへ行ってみると...
ありました。
見間違いではなく、本当に建物の上に車が乗っています。
背の高い車が、3階建の建物の2階屋上に停められています。
1階はどうやらお店になっている様子。写真では見えていませんが、「ケーキ」と看板に書いてあったので洋菓子店のようです。
中に入ってみましょう。
「こんにちは。屋根の上に車が乗っているんですが...」
「あぁ、よく聞かれるんですけど...昔、配達に使っていた車なんです」
そう答えてくれたのは店主の中島さん。
「わがままケーキの店 アランシア」は、数々の洋菓子店で修業した中島さんが1988年に独立、開店した店。「アランシア」とはイタリア語で「オレンジ」の意味で、お店のテーマカラーもオレンジ。創業当時からケーキの配達を行っています。
ケーキを届けるみんなのサンタクロース
ある時、中島さんは
「コック帽とコック服を着て配達したら、子どもたちに喜んでもらえるかも!」
とひらめきました。
ところが、普通の乗用車では天井が低く、30~40cmはあるコック帽を被ったままでは乗車できません。
「天井の高い車でなくては!」
運転中は帽子を脱いで到着したらまた被り直せばいいはず。が、運転中も、車から降りる時も「子どもたちにケーキを作り届ける職人」でいることに、中島さんのこだわりがありました。子どもたちの夢を壊さないことが何より大事。
探した末、天井の高さをクリアできる唯一の車が、屋上にある車だったのです。
車体をオレンジ色に塗装し、ロゴも入れた完全オリジナルの配達車。
ケーキを届けにお客さんの家へ行くと、想像以上に喜ばれたそう。
ホームビデオを回しながら出迎えられたり、
子どもと記念撮影をしたり、
まるでプレゼントを届けにやってきたサンタクロースです。
配達中の車は街でも目立ち、「あのケーキ屋さんや!」と子どもたちから声をかけられたりもしました。
配達の様子をイラスト化したオリジナルシールまであります。
約15万km、地球4周分に迫る距離を配達で走破した頃、車は引退を迎えます。
その後、今の場所へ店が移転することになり、これを機に屋上に車を設置することに。
では、どうやって屋上に車を上げたのでしょう?
「建物の裏から、毎日走り上がっているんですよ」
!?
「...というのは冗談で、この建物を建てた時に、朝5時からクレーンで吊り上げてもらいました」
そうですよね。クレーンですよね。
今では、この車で配達してもらっていた家の子どもが大人になり、自身の子どもを連れてお店に買いにきてくれるそう。
きっと、屋上の車を見ては「昔はあの車で...」と、お父さんお母さんが思い出話に花を咲かせていることでしょう。
阪急電車の車窓から見えるオレンジ色の車の正体は、
町の洋菓子店の30年の歴史とお客さんとの思い出がたくさん詰まった、大切な車なのでした。
まだ気になるものがある。
ところでお店の名前ですが、「わがままケーキ」とついています。
「お客さんのわがままに応えますよ、という意味です」
食品アレルギーのあるお子さんのために、卵と乳製品を使わないケーキの注文を受けたのがはじまりで、その後「ニワトリの形をしたケーキを作ってほしい」という相談を受け創作系ケーキも作るように。それが口コミで広がっていき、オーダーケーキの注文が増えていったそう。
これまで作ったオーダーケーキは1,000以上!
その力作の一部がこちら!
ご覧の通り、自由度の高いオーダーの数々!
ラーメン型のケーキなんて、誰も見たことがないはず!
全部食べられる素材を使っていて、ほかにも似顔絵、サッカー、ギター、キャラクターなどをイラストや立体で制作。お客さんの要望にできるだけ応えてきたそう。
さすが「わがままケーキ」の店です!
ある時、80cm正方の超大型ケーキの注文があり、箱に入れると120cm正方の大きさに。いつも以上に慎重に配達したものの、入り口のドアが狭くて入らなかった...なんてこともあったそう。
常連さんも多く、毎年ケーキの難易度が上がっていくそうです。
無視できないものが、もう一つある。
実はお店に到着した時、見て見ぬふりをしていたものがあります。
店の外の彼。
なかなか、いや、かなりインパクトがあります!!
「あぁ、彼はセカンドチーフです」
昔、知人から譲ってもらったというマネキンを、神戸にある知人の看板屋さんまで運んで、髭と眉を描いてもらったとか。それ以来、店先に立ちお店のPRを頑張っています。店の前を通る小学生たちの人気者。
薄々気づいている方もいるかもしれませんが、
マネキンのモデルは20年ほど前の中島さんです。
中島さんはオレンジ色のラインがコック服のポイントになっていますが、彼はまだ修業中ということで、まだ熟していない=緑色のエプロン。設定にもこだわりがあります。
雨の日も風の日も店先に立つセカンドチーフが早く一人前になれるよう、応援せずにはいられません。
まとめ
ケーキの配達、世界に一つのオーダーケーキ、インパクト大のマネキン。どれをとっても、こだわりに満ちた中島さんのお店。このお店を軸に、様々なストーリーが生まれ、多くの人の記憶に思い出が刻まれているはずです。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。
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