【阪急沿線おしらべ係 第2回】
幻の「うどん自販機」の秘密!
【2019年2月配信】
2回目を迎えた「阪急沿線おしらべ係」。
第1回目の記事を多くの方に読んでいただき、羽をパタパタさせて喜んでいるトッコです!
このコーナーでは、読者のみなさまから教えてもらった
「阪急沿線の街なかでの、ふとした疑問や気になること」
を、阪急沿線おしらべ係のトッコが"おしらべ係"として調査し、レポートしていきます!
今回は、「よく行くねんけど、うどんの自販機があるん知ってる?」と、実はマニアックな街ネタが好きなトッコの上司から情報を入手!
- それは温かいうどんが出てくるのか??
- カップラーメン的な湯を注ぐタイプでもなく?
- どういう仕組みになっているわけ?
と、ふつふつ湧いてきた疑問を解決するべく、調査してきました!
謎深まる自販機を確かめに、いざ!
目指すは海に近い、神戸のとある町。阪急岡本駅で降りて、南東へ向かいます。
途中、公園で本物の蒸気機関車に遭遇したり
消火栓の蓋のデザインに注目してみたり(2種類ある!)
芦屋浜の近未来的なカッコいいマンションにほれぼれしたり。
街あるきも楽しんじゃいます。
そして、トラックや工場が多いエリアの一角に、目的の場所を発見!聞いた情報では、うどん自販機は「石田鶏卵」というお店の前にあるようでしたが、商店のようです。
近づいてみると......これがウワサのうどん自販機!!
早速、うどん自販機を体験!
まずは外観チェックです。
素うどんかと思いきや、天ぷらうどん!そばもあるようです。
しかも、卵もトッピングできる。龍の玉子が気になる!
外観チェックを終えたら、お金を入れてボタンを押してみましょう。
ぽちっ。
押した後、いきなり「25」という数字が表示され、カウントダウンがスタート!
ガシャンガシャンと、自販機の中で何か動く音を聞きながら、焦ってカメラを構えているうちに、数字はゼロに。
そっと扉を開けてみると...出てきました!
何百回と食べてきたうどんですが、初めて出会うみたいに新鮮です。
せっかくなので、「龍の玉子」をトッピングで追加。黄身が鮮やか!
自販機に備え付けの箸と七味を取り出して、実食。
麺はもちもちとやわらかめ、出汁はスタンダードな角のない、ザ・大阪うどん。具材は、天ぷらにネギ、ちくわも入っています。
5分もかからず、あっという間に完食。
この機械いったい何?
カップ麺にお湯が注がれる自販機は見たことがあっても、生タイプの温かいうどんが食べられる自販機は「初めて見た」という人も多いのではないでしょうか。
それもそのはず、平成も終わろうとする今、この自販機があるのは全国でも数少なく、
関西では2か所だけだそう。
かなり貴重!なのです。
こちらの石田鶏卵を営む石田初美さんに自販機について聞いてみました。
この自販機が登場したのは昭和の頃、当時はコンビニなんてなかった時代。
お店が閉まってしまう夜間にも「温かいものが食べたい」
というドライバーたちを思って、全国のドライブインなどに普及したのでした。
ほかの場所では、うどんだけでなくラーメンやホットサンドもあったそう。
今や、いつでもなんでも手に入るようになり、次第にこの自販機は姿を消していくのですが、
消えつつある貴重さからか、かえってこれが新鮮に映るのか、今ひそかに話題になっているようです。
中には、全国のフード系自販機を食べ歩いている強者もいるそう!
「ここ数年は、わざわざ電車と徒歩で遠方からやってくる人が増えてるんです。平日より土曜の方が人が多いですね」
と石田さん。大通りから奥まった場所にあって人通りもない同店では、平日でも約50杯を販売しています。
知られざる自販機の内側!
この自販機、いったいどういう仕組みになっているのか気になりますよね。まさか、自販機の中でおじさんがせっせと作っているわけではありません。
補充する様子を見てみましょう!
あらかじめ、お椀に麺とすべての具材をセットしておきます。そして、自販機をオープン!
自販機の中はらせん状になっているんですねーーー!!
ここに、先ほどのセットしたお椀を、一つずつ並べていきます。50杯くらいは入りそう。
らせんは上下に分かれていて、上段がうどん、下段がそばになっています。
あ。1つだけ、エビがのってる!
「たまーに、やるんです」。
もしもえび天が出てきたら、大当たり!
大いに喜びましょう。
そして最後は出汁。ボトルにたっぷり出汁を入れてセット。右の管から注がれる仕組みになっています。
これでセッティング完了!石田鶏卵さんでは、毎日この補充作業を行っています。
では、お金を入れた後、どういう流れでうどんが出来上がるのか?
- らせんが回って一番上の椀が移動
- 椀に熱湯が注がれ、高速回転して湯切り(これを2回)
- 温かい出汁が注がれる
これでできあがり!たった3ステップでした!
わずか25秒、されど待ち遠しい25秒。ガシャンガシャンと音をたてながら、お腹を空かせる誰かのために、24時間働いているのですね。
まとめ
活躍の時は過ぎ、レトロなうどん自販機は絶滅危機にあります。
石田鶏卵さんのこの自販機も、部品が手に入らなくなったら終わりの時を迎えることに。
数少ない、昭和の遺産ともいうべき自販機。
懐かしいと思う方も、新しいと思う方も、25秒のワクワクする時間を楽しんでみてくださいね。
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