【阪急沿線おしらべ係 第80回】
阪神競馬場と阪急電鉄の知られざる関係とは? リニューアルした阪神競馬場を調査!

【2026年1月配信】
このコーナーでは読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。
今回は、読者の方からこんなリクエストをいただきました。
仁川駅にある阪神競馬場で開催される「阪急杯」について調べてほしい。
阪神競馬場は今津線・仁川駅のすぐ近く。阪急の駅でレースのポスターを見かけることも多いですよね。
その阪神競馬場は、2025年春に大規模なリニューアルを行ったばかり。一体どのように生まれ変わったのでしょうか?
そして毎年2月には、その名も「阪急杯」というレースが開催されています。 阪神競馬場と阪急電鉄の“特別な関係”は本当にあるのでしょうか。
早速、おしらべ係が現地に向かいました。

競馬と桜の街

今津線・仁川駅
仁川駅の改札を出ると、早速目に飛び込んできたのは阪急電車と馬が描かれた大きなイラストが出迎えてくれました。駅前からすでに「阪急×競馬」がコラボムードです。


仁川駅外にあるイラスト。デザインは毎年変更されます。
中央競馬のレース開催日にだけ使われる駅から競馬場直結の専用地下道もあって、大きなレースがある時の賑わいが想像できますね。ただ、残念ながら取材日はシャッターが降りていました。

専用地下道(中央競馬のレース開催日以外は通れません)
また、競馬場のゲートまでの道中には桜の木がたくさん植えられていています。春になれば美しい桜並木が見られるに違いありません。
そしてたどり着いた競馬場は、遠くからでも一目でわかる巨大さ! 実は初めて阪神競馬場に来たおしらべ係。そのスケールに圧倒されてしまいました。

阪神競馬場ってどんなところ
今回は、競馬場についてお話をうかがったのは、JRA日本中央競馬会 阪神競馬場サービス担当係長の橘亮介(たちばなりょうすけ)さんです。

橘亮介さん
まず阪神競馬場の概要について教えていただけますか?
「阪神競馬場は兵庫県宝塚市にあり、広い敷地を活かした、大きなコースが特徴です。外回り一周2089メートルというのは右回りの競馬場の中では日本最長なんですよ」
「また広い敷地の中には約750本もの桜の木が植えられていて、春は桜の名所としても知られています」

満開の桜が美しい阪神競馬場 写真提供:JRA日本中央競馬会
おしらべ係も道中目にした桜の木、やはり有名だったのですね。
「毎年春、桜が満開の頃に開催される『桜花賞』は阪神競馬場で行われるレースの中でも最大級のもので、天気が良いと3万人以上のお客様がいらっしゃるんです」
3万人以上の方が詰めかけるとは! この日はレースのない日だったこともあり、競馬場近辺はゆったりとした時間が流れていましたが、当日の熱気は想像以上にすごそうです。
競馬場建設と阪急電鉄の関わり

続いて、気になる“阪神競馬場と阪急電鉄との関係”についてもお聞きしました。
「阪神競馬場が建設された当時から、阪急電鉄とのつながりは強かったようです。阪神競馬場が現在の位置に建設され開業を迎えたのは第二次世界大戦後の1949年のことでした。どこに競馬場を建てるかについては紆余曲折あったのですが、阪急仁川駅のほど近く、現在の位置に建設が決まると、沿線の一大開発ということで当時の京阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)に協力していただいたという資料がJRAに残っています」
そもそもの成り立ちから阪急電鉄が深く関わっていたのですね。さらに橘さんは続けます。

昭和30年代の阪神競馬場 写真提供:JRA日本中央競馬会
「開業から間もなく行われた馬場内の整備にも協力していただいたようです。阪神競馬場の敷地は元々、航空機工場があった土地でした。戦時中の空爆で荒れ地となった工場跡地を競馬場にしたため、開業当初はレースの行われる馬場の内側に工場の残骸が残されていたそうですが、さすがに見栄えが悪いと整備することになりました。その際に協力していただいたのが阪急電鉄でした。」。
「しかも、馬場内の整備はただの瓦礫撤去では終わらなかったんです」
ただの瓦礫撤去ではないとはどういうことかというと、きれいに片付いた馬場の中になんとゴルフ場を建設したとのこと。
まさか競馬場の真ん中にゴルフ場を作ったとは! ちなみにゴルフ場は1951年に開業してから1998年まで営業していたそうです。読者の方の中には、実際に馬場の中でゴルフをされた方もいらっしゃるかもしれませんね。
伝統の「阪急杯」をはじめとするコラボレーション
阪神競馬場と阪急電鉄の深い縁を象徴するのが、毎年2月下旬に開催される重賞レース『阪急杯』です。阪急電車に乗る人にとって、これほど親近感が湧くレース名はないですよね。1960年よりスポンサーとして阪急電鉄が当レースの賞品を提供しています。
「阪急杯は、春のGⅠレース『高松宮記念』の前哨戦として非常に重要な位置づけにあり、毎年トップクラスの短距離馬が集結します。今年(2026年)で第70回を迎える、非常に伝統あるレースなんですよ」

阪急杯の日程が掲載されているポスター(1981年) 写真提供/阪急文化財団
レース開催に合わせて、阪急電鉄では毎年「阪急杯ヘッドマーク」を掲出した列車が走ります。これを楽しみにしている鉄道ファンの方も多いですよね。

阪急杯ヘッドマークをつけた阪急電車
「阪急杯開催時には、当競馬場でも『阪急杯こらぼふぇす』というコラボ企画を行っていて、お子様連れのファミリー層にも好評です。さらに秋には『鉄道の日こらぼふぇす』もあるんですよ」と橘さん。
「どちらも阪急電鉄にご協力いただき、魅力的なイベントになっています。直近となる2025年9月の『鉄道の日こらぼふぇす』では、駅員気分を味わえるフォトスポットや、実際に乗れるミニ列車、大人も子供も夢中になれる鉄道に関するクイズ大会などを2日間にわたって開催。ご来場の方々に大変喜んでいただけました」



たくさんの方々に楽しんでいただけた2025年の『鉄道の日こらぼふぇす』の様子
開業以来続く阪神競馬場と阪急のつながりは、時代を超えて今なお続いているのですね。
旧来のイメージを覆すリニューアル
2025年に行われたリニューアルについてもお聞きしました。
「2025年3月、『楽しさ、遊び方、無限大。』を合言葉に、『シン・阪神競馬場 RENEWAL OPEN!』と題して大規模リニューアルを行いました。老朽化した施設の刷新だけでなく、時代に合わせてターゲットを広げる施策を実行しました」
これまで、競馬は男性が中心のエンタテインメントというイメージがありましたが、女性やファミリー層にとっても魅力ある施設へと生まれ変わったそうです。
通常は場内施設も中央競馬開催日のみの営業ですが、今回、特別に見学させていただきました。
まず、子ども向け施設の充実には目を見張りました。中でもボーネルンド社がプロデュースする「あそび馬!」は、天候に関係なく無料で遊べる施設ということもあって大人気だそう。



あそび馬!は時間ごとの先着定員制ですがすぐに埋まってしまうそう
他にも体を思いっきり動かせるアスレチックエリアや、飛んだり跳ねたりできるふわふわドームが大人気だという屋外のキッズガーデンなど、子ども向け施設がたくさんありました。
次に案内してもらったのは何とトイレ。
「女性向けのトイレにはこだわりました」
3階東スタンド内に新設された女性用トイレは、パウダールーム完備のラグジュアリーな雰囲気で快適そうです。


自然光をふんだんに取り込んだ明るい空間
また、グルメエリアも進化。近隣の有名店やおしゃれなカフェが新しくオープンしたほか、フードコートもリニューアルされました。
もちろん、レースを観戦するスペースにも力を入れています。
「スペースの種類を大幅に増やしました。グループで楽しめる個室やテーブル席、一人で集中できる個別ブースなど、競馬場が初めての方にも落ち着いてレースを楽しめると好評です」


個室や個別ブースも日によっては予約で埋まってしまうそう
たくさんの施設を見学させていただきましたが、競馬場全体が開放的で明るく、お子様連れや女性といった新しいターゲットだけでなく、元々のファンにもうれしいリニューアルだと感じました。
「今回のリニューアルが功を奏し、以前と比べて入場者も増えています」と橘さんがおっしゃるのも納得です。
リニューアルした施設の詳細については、JRAの公式サイトで発信されています。
公式サイト:https://www.jra.go.jp/facilities/race/hanshin/rcmap/
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