【阪急沿線おしらべ係 第76回】
大阪梅田駅構内のギャラリーコ-ナーと、展示常連の“鉄研”を取材!
【2025年9月配信】
このコーナーでは読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。
今回は、大阪梅田駅にギャラリーコーナーがあるというウワサを聞いたおしらべ係。
広い大阪梅田駅のどこに、そんな場所があるのか?
そこではどんな展示が行われているのか?
様々な疑問が思い浮かぶ中、早速取材に行ってきました!
ギャラリーコーナーは大阪梅田駅のどこにある?
まずは、今回案内していただく、阪急電鉄えきまち事業部営業企画担当の木村賢(きむらさとし)さんと大阪梅田駅2階中央改札前で待ち合わせ。
木村さんは今年4月から担当になったばかりとのことで、長年担当してきた前任者からバトンを受け取り、出展者とギャラリーコーナーを繋いでいるそうです。
車掌、運転士を経て、当業務を担当している木村さん
「ギャラリーコーナーはすぐそこですよ」と木村さんに案内していただいたのが、2階中央改札口と茶屋町口の連絡通路。階段を上がると、通路の両側に展示パネルがあります。
ギャラリーコーナーはちょうどホームの下にあたる
計8枚のパネルが設置されたギャラリーコーナーがありました。
連絡通路は神戸線側と京都線側にあり、それぞれの通路にギャラリーコーナーがあります。
赤い○の箇所がギャラリースペース
大阪梅田駅ギャラリーコーナーが開設されたのは、2004年のこと。主に阪急沿線で活動する学校や各種団体、個人の制作発表の場として、阪急電鉄が無料で提供しているスペースで、これまで絵画や写真、その他の平面作品などの展示に利用されてきたそうです。
展示期間は原則14日間。展示の許可基準に則しており、申し込みをして希望の期間が空いていれば利用できるとのこと。
神戸線側ギャラリーコーナー
木村さんは「出展者様が楽しんでおられる様子を拝見したり、出展者様とコミュニケーションを取ったりすることが楽しみ」と、沿線に住む方との顔の見える関係にやりがいを感じているそう。
また、阪急電鉄の駅に設けられたギャラリーコーナーは園田駅にもあると聞き、現地に行ってきました。
園田駅のギャラリーコーナーは、改札内にある空調の効いた待合スペース「Station+(ステーションプラス)」の中にありました。
壁に設置された2面の展示コーナー
この日は展示期間外でしたが、園田駅は2008年から地元で活動されている団体様を中心に利用されているそうです。
多くの人が行き交う駅で日頃の活動の成果を発表できる機会は、利用されるみなさまの活動のやりがいにも繋がっていそうです。
ギャラリーコーナーの出展申し込み、詳細はこちら
https://www.hankyu.co.jp/station/service/gallery.html
毎年展示が行われている、全国高校鉄道研究部写真展
さて、ギャラリーコーナーでは具体的にどんな展示がされているのでしょうか?
学校が夏休みに入ったばかりの7月下旬。大阪梅田駅ギャラリーコーナーでは、この日から始まる「第8回全国高校鉄道研究部合同写真展」の設営が行われていました。
暑い中、展示作業をする生徒
「全国高校鉄道研究部合同写真展」は、その名の通り全国各地の鉄道研究部の部員が、自分が撮影した鉄道写真を展示発表するというもの。今年は全国9都府県から16校が参加し、計140枚もの鉄道写真が出展されました。
その設営を担当したのが、雲雀丘学園中学・高校の鉄道研究部。龍谷大学付属平安中学・高校の鉄道研究部の生徒も駆けつけ、計15名で作業にあたっていました。
龍谷大学付属平安の鉄道研究部の生徒たちも合流
今回展示する写真の台紙の制作や準備は、雲雀丘学園の生徒が行っているそうで、
「今年は嵐山線を走る阪急6300系をデザインしました。グリーンがかった窓の色にもこだわっています」
と、担当した雲雀丘学園高2年の副部長が胸を張って答えてくれました。
校内で行った事前準備の様子
展示作業中の生徒に、出展した自分の作品について聞いてみると
「人のいない朝6時にスタンバイして、構図を徹底的に考えて撮影したこだわりの写真なんです」
「これは1982年にデビューした、今では貴重な国鉄車両。それが臨時列車として走った時の写真で、小学生の頃からこの車両を追いかけて撮り続けています」
など、1枚に込めた熱い思いがあふれ出します!
岡山・伯備線を走る車両をおさめた生徒の作品
今年、雲雀丘学園の鉄道研究部に入部した中学1年生は
「大阪の中心地で展示されるなんて貴重な機会だと思います。初めての参加ですごくうれしいです!今度、親と見に来ます」
と、目を輝かせていました。
雲雀丘学園の生徒の作品。阪急電車のカレンダーになりそう!?
生徒たちにとって、自分の作品が駅に展示されるとは夢のようで、きっと親御さんもうれしいことでしょう!
最後に全員でピース!
精力的に活動する鉄研の一つ。雲雀鉄研(ひばりてっけん)!
今回の全国鉄道研究部写真展の展示を担当した雲雀丘学園鉄道研究部(通称・雲雀鉄研)は、大阪梅田駅ギャラリーコーナーを利用する常連の団体の一つです。
雲雀丘学園は、阪急宝塚線・雲雀丘花屋敷駅前にある幼稚園から高校までの私立一貫校で、校内に現役で活躍した国鉄の蒸気機関車が保存されており、鉄道とも縁のある学校です。
雲雀丘学園に保存されている蒸気機関車C56-111
創部50年を超える雲雀鉄研には、現在、中高の生徒43名が在籍しており、大阪梅田駅ギャラリーコーナーを年3回、園田駅ギャラリーコーナーを年1回利用しているそうです。
「大人がチャンスを用意すれば、生徒たちは自主的に考えて行動するんです」
そう答えるのは、顧問の板倉宏明(いたくらひろあき)先生。
顧問の板倉先生。子どもの頃から鉄道好き(乗り鉄)!
鉄研の活動を通じて、生徒が自ら考え行動する力が身につけられるように指導しているそうです。
例えば、部員が一般の生徒も交えて行ったテーマ研究発表会では、生徒がプレゼン力を実践で養える場になっています。
生徒が作成した、研究発表の資料
「特に、生徒を学外に連れていくことを大事にしています。人との関わりや社会のルール、部活を通じて多くの経験を積んでほしいんです」
地域のイベントに出展することで、生徒が小さな子どもやその親御さんとコミュニケーションを取ったり、地域のラジオ番組に出演して人前で話すことを経験したり。
その裏で、板倉先生は日々の授業や部活の指導の傍ら、外部の関係各所との調整や手配に励んでおられます。
尼崎市園田東生涯学習プラザで開催した、鉄道旅行講座での生徒のプレゼン
こうした生徒への熱心な指導が伝わったのか、「雲雀鉄研に入るためにこの学校を選んだ」という生徒もいるほどで、鉄道ファンの間で雲雀鉄研の名は結構知られているとか!
部活動の様子を学校のホームページに月20回以上更新。情報発信にも積極的
「今は、学校にあるSLを今後どのように維持管理していくのかが悩み」だという板倉先生。ですが、鉄道好きの血が騒ぐのか、ご自身もどこか楽しんでいらっしゃるようにも見えます。
生徒に様々な経験の場を作りながら、共通の趣味仲間でもある彼らと共に、これからも“好き”を突き詰めていかれることでしょう!
9月のギャラリーコーナーでは、雲雀鉄研の夏合宿の写真展を開催
ちょうどこのおしらべ係の記事が公開される9月に、大阪梅田駅ギャラリーコーナーで夏合宿の写真展を行う雲雀鉄研。
今年の夏合宿は、大阪から鈍行列車を乗り継ぎ、長野、北陸を旅する3泊4日の旅で、その道中で撮影したベストショットを披露します。
20ページにおよぶ夏合宿の冊子。活動の中で最も力を入るものだとか
制作担当に立候補した生徒が手掛けた夏合宿の冊子には、1日12時間の移動で乗り継ぐ路線と時刻のほか、乗車する車両の解説など、情報がぎっしり!
年2回の合宿では、3年間でほぼ全国を訪れることができるそうで、この日、夏合宿を翌週に控えた部員のみなさんはワクワクが止まらない様子です。
今年の夏合宿の様子
「8月の文化祭では研究発表の展示を行い、生徒たちにどの研究が良かったか投票してもらいます。9月のギャラリーコーナーでの展示では、その上位の作品もご覧いただこうと思っているんです」
と話す板倉先生。
写真展は、撮影の構図や腕前だけでなく、作品のタイトルにも撮影者の個性が発揮されるところ!
生徒たちはどんな気持ちで撮ったのか、どんな思いを込めてタイトルを付けたのか。そんな想像を膨らませながら見てみると楽しいかもしれません。
さて、今回はどんな力作が集まったのでしょうか?
大阪梅田駅に行った際には、みなさんもぜひ立ち寄ってご覧いただき、お気に入りの写真を探してくださいね!
展示期間:2025年9月24日(水)~10月20日(月)
展示名: 雲雀丘学園・龍谷大平安・清風他合同写真展
雲雀丘学園鉄道研究部公式サイト
https://www.hibari.jp/club/culture/railway/
取材を終えて
何度も訪れている大阪梅田駅の中に、まだ知らない場所があったことに驚いた今回の取材。
地域と社会を繋ぐギャラリーコーナーには、好きなことに突き進む人たちの純粋なエネルギーが満ちていました。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。
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