【阪急沿線おしらべ係 第52回】
ちいかわ×阪急電車 コラボレーション企画 ラッピング列車ができるまでを調査!

【2023年9月配信】

このコーナーでは読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。

今回は阪急電車の夏の風物詩ともなっているあの電車について、こんな質問が寄せられました。

『阪急電車とさまざまなキャラクターがコラボしているラッピング列車はどうやって作っているの?』。

阪急電車と人気のキャラクターがコラボレーションするラッピング列車。2023年夏は、人気キャラクターちいかわたちとコラボレーションした電車が8月4日から各線で運行されています。

今回の阪急沿線おしらべ係では、「ラッピング列車ができるまで」ということで、ちいかわとコラボレーションした「ちいかわ号」ができるまでを調査しました!

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毎回話題になるラッピング列車 その歴史と今年のキャラクターちいかわとは?

まずは、阪急電車の歴代のラッピング列車について振り返ってみました。

環境をテーマにした2008年の「エコトレイン 未来のゆめ·まち号」、2014年の宝塚歌劇100周年を記念した「宝塚歌劇トレイン」、2015年の沿線の観光スポットをあしらった「爽風(かぜ)」・「宝夢(ゆめ)」・「古都」、2019年からSDGsの啓発メッセージを発信する「SDGsトレイン 未来のゆめ·まち号」などさまざまなラッピング列車があります。

そんな中でも2015年の「夏の阪急電車 リラックマ号」からはじまった、キャラクターとコラボレーションしたシリーズはお客様にも大人気の企画です。

2023年は、人気キャラクターちいかわとのコラボレーション企画が実現しています。ここで改めておさらい!ちいかわとはイラストレーターのナガノ氏が描く、SNSで連載したことから人気となったキャラクター。いつも一生懸命なちいかわと友達のハチワレ、うさぎなどの個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる、楽しくて、切なくて、ちょっとハードな日々の物語が人気となっています。

今回のラッピング列車をはじめとしたさまざまな企画を担当者する阪急電鉄 都市交通事業本部 えきまち事業部に今回の企画について伺いました。

CHIIKAWA×HANKYU企画の秘話

人気のちいかわとのコラボ企画は、発表直後から「やってくれると思っていた」「待ちに待ったコラボ!」と多くのお客様から喜びの声が寄せられているそうです。いつ頃からこの企画の検討をスタートしたのでしょうか。

「今回の企画の検討は、2022年の夏頃にスタートしましたので、丁度1年ほどでしょうか。ラッピング列車のほかにもデジタルスタンプラリー、フォトスポットの設置などをはじめ、コラボフードやグッズなどと多くの内容がありますので、どうしても準備に1年ぐらいはかかっていますね」とのこと。
そんなに長い期間準備にかかっているのですね。気になるのは、毎年話題になるキャラクターの選定です。今回ちいかわとコラボした理由はどういったところにあるのか聞いてみました。

「ちいかわは、2022年に日本キャラクター大賞でグランプリを受賞するほどの人気キャラクター。それと同時に仲間と協力して困難を乗り越えていくストーリーが、人々に癒やしを与えていますよね。当社としてもちいかわとコラボレーションすることで、皆さまに癒やしや小さな喜びを感じていただけるのではと思い決定しました」。

今回のコラボ企画が発表された日(7月18日)は、多くの方々がこの企画へ喜びの声をSNSにあげられていました。

ラッピング列車のデザインとこだわり

ラッピング列車には、阪急沿線のスポットが描かれていますが、どのキャラクターを使用するのかなどの組み合わせはどうやって決めているのでしょうか。また今回のコラボレーションで難しかったことをお聞きすると、

「デザインは、今回の企画に携わる人たちで結成された社内のチームで決めています。なるべく、今までのラッピング列車でとりあげたスポットと重ならないようにも工夫しています。今回、難しかったのは色味。ちいかわは元気な色合いが多く使われているキャラクターなので、阪急電車のマルーンの色との組み合わせには苦心しました。その甲斐あって、とってもかわいらしく仕上がったのではと思っています」。

ちいかわの華やかで元気な色とマルーンの落ち着いた色がマッチし、とても目を引くデザインになっていますよね。

「またラッピング列車が走ることで沿線の景観を乱していないかという確認も兼ねて各自治体にラッピング列車を走らせる許可を事前にいただいています。沿線を走るには、阪急電車とキャラクターがマッチしているかどうかもラッピング列車には大切なポイントなんです」とのこと。

今回の企画で初の試みなどはあったのでしょうか。

「いくつかありますが、神戸線の<ハチワレ号>、宝塚線の<ちいかわ号>、京都線の<うさぎ号>と線区ごとにキャラクターを使い分けたのは今回が初めての取り組みですね。各線でキャラクターをわけることで、どの線も愛着を持って利用していただきたいという思いも込めています」。ちいかわのメインキャラクターに、ちいかわ、ハチワレ、うさぎの3キャラクターがいたこともこの試みのきっかけになったそう。

「また電車ごとに特徴ある装飾を施しました。宝塚線には2~7両目のドアステッカー。今回は全ドアにステッカーがあるところがこだわりです。ちいかわたちがドアから覗いているデザインですが、全部で6種類あります。電車内と電車外のどちらからでも楽しんでいただける仕様になっているのもポイントですね。今回の企画限定キャラクターの<マルーンの鎧(よろい)さん>もいますので、ぜひ注目していただきたいです」とのこと。

この「マルーンの鎧さん」は、阪急電車が好きでお客様の阪急沿線へのおでかけを優しく見守ってくれているキャラクターなんだとか。これはなんだか心強い気持ちになりますね。

「神戸線には、初の試みで天井面ステッカーが2種類。車内で上を向くことってなかなかないと思いますので、ぜひ探していただきたいですね。京都線は連結部横のステッカーです。窓からちいかわたちが覗いているデザインになっていて、どれもこだわりがいっぱい詰まっています」。

細かなところにまでこだわっている印象を受ける阪急電車のラッピング列車ですが、今回も装飾の一つひとつに思いが詰まっているのだなと改めて感じます。

「本線だけでなく、伊丹線、箕面線、嵐山線の支線を走る全ての列車に特製ヘッドマークを掲出するのも今回こだわった点のひとつです。本線のラッピング列車は各線1編成のため、いつでも見られるものではありません。3つの支線において全ての列車に特製ヘッドマークがついていることで、より多くの方に見ていただくきっかけになるのではと考えています」。

偶然出会った・乗ることができた時の喜びもラッピング列車の楽しみだと思います。今回はラッピング列車のダイヤも発表されています。
詳しくはこちらをチェック!
https://www.hankyu.co.jp/topics/detail/009587.html
※ラッピング列車の運行は2024年3月28日までです。

「乗務員室に添乗しているちいかわたちのぬいぐるみや、オリジナルデザインのポスターやステッカーも一見の価値ありです!ちいかわファンの方々はもちろん、阪急電車のファンの方など多くの方にちいかわで癒やされてほしいなと思います」。
と今回のラッピング列車についてたっぷりと語ってくれました。

実際にラッピング列車ができるまでを見てみよう!

そんな数々の話を聞くと気になるのは、ラッピング列車のできる様子です。今回は「ちいかわ号」のラッピング作業を取材すべく、宝塚線の平井車庫に特別にお邪魔させていただきました。
平井車庫は雲雀丘花屋敷駅近くにある宝塚線の車庫(一般公開はされていません)、今回の作業は、ラッピング列車運行を目前に控えた8月のある日に行われました。

驚きの職人の技を目の当たりに。

まずラッピング前のシート、近くで見るとこんなに大きいものなのだと驚いてしまいます。

ラッピング列車には、ラッピング以外にも中吊りポスターを吊ったり、ドアにステッカーを貼るなど作業もあり、これらがすべて同時進行で滞りなく行われていきます。

電車の外装のラッピング作業は先頭車両担当、2~7両目のドア横シート担当などと職人の方々の役割が事前に決められているよう。

作業は設計図を確認しながら、手を止めることなく続いていきます。その無駄のなさとスピーディーさは惚れ惚れするほど!

実際に見学していると、シートを貼る作業そのものよりも位置決めと仮止めにより時間をかけているのがわかります。

位置が決まれば、先頭車両の車体のラッピング作業が進められます。
その時間約20分弱。こんなに大きいシートなのに驚異のスピードです。

「位置決めは、設計通りの位置かどうか測りながら決めています。ここを丁寧に行うことで、実際に貼る作業が迷いなく、スムーズに進められます」と現場監督。

こんなに大きなシートだと、時間の経過とともに剥がれたりなどはしないのでしょうか。

「車体のシートはラッピング列車専用の特殊な素材です。電車の洗浄時はもちろん、多少の風雨では剥がれる心配はありません」と教えてくれました。

ドア横ラッピングシートを貼るまで

それではドア横ラッピングシートを貼る手順と、どのぐらいのスピードで行われているかをご紹介します。

1 まずは接着面の汚れや油分を拭き取り、位置に仮止め

2 位置を確認し、シートを仮止め

3 台紙を外してシートを接着

4 シートの上を拭き取りるように押さえて完成!

ここまでで約2分!
スマホの画面保護シールを貼る時ですらあんなに時間がかかるのに、これだけ大きなシートを貼るのに失敗などないのでしょうか。

「実はラッピング列車専用のシートは、特別な仕様なので予備もありません。でもこのシートは気泡が入らない特殊な素材なので、失敗もありません!スマホの時はホコリや気泡が入り込む問題もあるので、私たちでもさすがにこうはうまくいきません」と現場監督も笑います。

電車の顔部分には「ちいかわ号」と書いた名前シートも!

ちいかわのヘッドマークをかけて…完成!

ちなみにヘッドマークは大阪梅田方と宝塚方でデザインが違いますので、ぜひ両方チェックしてみてください。

各担当の皆さんが同時進行で進むプロの技

次に車内の様子もご紹介。
まずはステッカー!丁寧に位置決めしながら作業していきます。きちんと窓からちいかわたちが覗いて見えるように、角度も微調整!

ほかにも乗務員室に添乗しているちいかわたちも電車の揺れなどで転ばないよう、しっかり固定します。

中吊りポスター、貫通路ポスター、ドア横ポスターなども変えていきます。ちいかわ一色の車内はカラフルで高揚感もたっぷり!これはおでかけ意欲も高まりそう。

ラッピング列車内の動画もちいかわ仕様!乗車中はついつい見入ってしまいそう。乗り過ごしには注意を!

作業開始から約5時間ほどで「ちいかわ号」の全ての作業が完成!こんなにたくさんの作業があるのに、間違いなく、そして美しく仕上がるという驚きと共に、改めて職人さんの技に触れられた貴重な機会となりました。

<参考資料>
神戸線「ハチワレ号」

京都線「うさぎ号」

いよいよお披露目!ちいかわ、ハチワレ、うさぎも参加した内覧会
今回は報道機関の方にラッピング列車「ちいかわ号」をお披露目した内覧会にもお邪魔しました。

青空のもと公開された「ちいかわ号」は、まぶしくも大変かわいい仕上がり。

内覧会には、ちいかわ・ハチワレ・うさぎたちも登場!その登場には、報道関係者からも歓声とたくさんのシャッター音が!

「ちいかわ号」は2024年3月28日まで運行予定!
そんな内覧会を経て、いよいよ8月4日からデビューとなった「ちいかわ号」。

神戸線の「ハチワレ号」には中華街やポートタワー、宝塚線の「ちいかわ号」には宝塚大劇場や箕面の滝、京都線の「うさぎ号」にはちいかわ、ハチワレ、うさぎが和菓子を食べる様子や大文字山などが描かれています。ぜひ各線で運行している電車に乗車して阪急電車と「ちいかわ」の世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ちいかわたちと一緒に阪急沿線をたのしもう!
ちいかわ×阪急電車(2024年3月28日まで公開)

https://www.hankyu.co.jp/area_info/chiikawa_hankyu2023/

阪急電車ファン全員集合!
https://youtu.be/TR6TqpeVt84

※写真撮影時のお願い
皆様に「ちいかわ×阪急電車」コラボラッピング列車を楽しんでいただくためのお願いです。大阪梅田駅をはじめ、お客様の多い駅で撮影される際は、電車をご利用のお客様の通行をご優先いただくよう、ご協力をお願いいたします。
また、写真撮影の際、手やカメラがホームドアを乗り越えてしまうと、警報が鳴り電車が走れなくなりますのでおやめください。
撮影の際はホームドアから距離を保つよう、ご協力をお願いいたします。

まとめ

駅でたまたま見かけるとうれしくなる、ラッピング列車ができるまでを今回は取材しました。そこには、ちいかわたちの魅力を生かしながら、阪急電車との調和を考え、お客様に喜んでもらいたいというおもてなしの心が存分に感じられました。
今回はラッピング列車以外にもデジタルスタンプラリー、コラボフードやグッズなど多くの企画が実施されています。特にデジタルスタンプラリーは、スタンプを3つ取得すると「オリジナルスマホ壁紙」、7つ取得すると「オリジナルホログラムステッカー」がもれなく貰えるほか、抽選で5,000名様に「オリジナルジオラマアクリルスタンド」が当たるなど、参加景品も盛りだくさん!ラッピング列車を楽しむのはもちろん、阪急沿線のいろいろな場所へ出かけていただいて、ちいかわたちと楽しむ時間を過ごしてみてくださいね。

阪急三番街では「さんばんがいとちいかわのなつやすみ」を2023年9月30日まで開催中

https://www.h-sanbangai.com/chiikawa-cp-summer2023/?utm_source=book&utm_medium=qr&utm_campaign=event

最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。

みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。

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