【阪急沿線おしらべ係 第47回】
阪急電車がデザインされたマンホール蓋があるって本当?

【2023年4月配信】

このコーナーでは読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。
今回、読者の方からいただいたご質問はこちら。

阪急電車のデザインマンホールがあると聞いたことがあります。
どこにあるのか調査をお願いします。

「デザインマンホール」とは、全国各地に設置されている、その土地の名所や名物、ゆかりの人物などがデザインされたマンホール蓋のこと。
調べたところ、阪急電車のデザインマンホールは吹田市と阪急電鉄がコラボレーションしたもので、吹田市内にある阪急千里線の7駅に1カ所ずつ設置されているとのこと。

一体どのようなデザインなのか?
さっそくデザインマンホールが設置されている吹田駅、豊津駅、関大前駅、千里山駅、南千里駅、山田駅、北千里駅をめぐります。

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阪急電車のデザインマンホールをめぐりました

吹田駅

阪急電車デザインマンホールめぐりの記念すべき一駅目、吹田駅に到着。西改札口を出てすぐ左手にある、こちらの植栽の中に…
※マンホール蓋は植栽の中に設置されていることもあります。


吹田駅西改札口付近

…ありました!


鉄道シリーズ 阪急電鉄コラボ「千里線 吹田駅」バージョン

よく見かける、幾何学模様やイラストがデザインされた鋳鉄(ちゅうてつ)製のマンホール蓋とは異なり、電車の写真が使われているのが印象的。吹田駅を走る阪急電車や吹田市役所が写っており、吹田駅の日常的な風景を象徴するような一枚です。


吹田駅のデザインマンホールの拡大写真

デザインマンホールをじっくり目を凝らして見ると吹田市役所の最上階に何かが写っています。この正体は後ほど判明します。

他のデザインマンホールはどのような写真なのか?期待に胸を膨らませながら、次の駅に移動します。

豊津駅

続いてやって来たのは豊津駅。改札口を出て、駅の東側へ進むこと徒歩約1分。歩道上に1カ所設置されています。


豊津駅から東側へ約50m進んだ地点

日常の何気ない風景のなかにデザインマンホールがありました。


鉄道シリーズ 阪急電鉄コラボ「千里線 豊津駅」バージョン

こちらは、カーブを描く豊津駅のホームに阪急電車が到着した場面を捉えた写真で、臨場感が伝わってきます。

よく見ると、駅のホームには吹田市のイメージキャラクター「すいたん」の姿も。ケーキ箱を持っているようですが、これから誰かに会いに出かけるのでしょうか?そんな想像も膨らむ一枚です。


豊津駅のデザインマンホールの拡大写真

「すいたん」の奥に立つスーツ姿の人物は通勤のカバンだけでなく、「すいたん」のぬいぐるみと花束も持っています。
デザインマンホールに豊津駅を採用することが決まった2020年は、吹田市の市制80周年。この「すいたん」のぬいぐるみは、燕尾服(えんびふく)に身を包んだ市制80周年記念の特別デザインです。
そして、実際にこのデザインマンホールが豊津駅に設置された2021年は、千里線開業100周年の年。花束はそのお祝いなんですね。

ちなみに「すいたん」は、吹田市の全てのデザインマンホールに写っているそうです。
先ほどの「吹田市役所の最上階に写っているもの」の正体も、「すいたん」だったのですね。


吹田の名産の「くわい」がモチーフの「すいたん」

「すいたん」について詳しくはこちら
https://www.city.suita.osaka.jp/shisei/1018880/1018884/index.html
「吹田くわい」について詳しくはこちら
https://www.city.suita.osaka.jp/shisei/1018880/1018884/1019205.html

関大前駅

次に訪れたのは関大前駅。南改札口の南東出口から出ると、すぐに発見。


鉄道シリーズ 阪急電鉄コラボ「千里線 関大前駅」バージョン

カーブした線路を走る阪急電車の車両が、桜とともに写っています。ひょっこりと顔をのぞかせる「すいたん」がキュート。


関大前駅のデザインマンホールの拡大写真

駅に到着した阪急電車とデザインマンホールを一緒に撮影することもできました。フォトスポットにいかがでしょうか?


関大前駅南改札口の南東出口付近

千里山駅

次に訪れたのは千里山駅。東改札口を出て、ロータリーやタクシーのりばを進むこと徒歩約1分、交差点の手前で発見。


鉄道シリーズ 阪急電鉄コラボ「千里線 千里山駅」バージョン

千里山駅周辺は、イギリスの田園都市をモデルに整備された地域だそう。写真には駅舎の特徴的なとんがり屋根も写っています。


千里山阪急ビル正面側から見た千里山駅の駅舎

大きなかばんを持って駅のベンチに座る「すいたん」。イギリス旅行気分なのかも?


千里山駅のデザインマンホールの拡大写真

このデザインマンホールの隣には、太陽の塔や市の花「サツキ」、市民の木「クスノキ」といった吹田市ゆかりのモチーフがデザインされた鋳鉄製のデザインマンホールも並んでおり、2種類のマンホールを2ショットで撮影できます。


千里山駅の東改札口を出て、ロータリーやタクシーのりばを進み約100mの場所

そもそもマンホールは、下水管などの地下に埋設された設備を点検する際の入口です。
下水管には、雨水と生活排水を同じ下水管で流す「合流式」と、雨水と生活排水を別々の下水管で流す「分流式」があります。後者の場合、地下の下水管の構造により、写真のように複数のマンホール蓋が近くに並ぶことがあるそうです。
2種類のデザインマンホールが近くに並んでいるのには、そんな理由があったんですね。

南千里駅

続いて南千里駅。改札口は2階にあるため、まずは地上に降りて駅の西側へ進みます。歩くこと約2分、歩道上にありました。


南千里駅の2階改札口から地上に降り、約130m進んだタクシーのりば付近


鉄道シリーズ 阪急電鉄コラボ「千里線 南千里駅」バージョン

南千里駅の北側にあるトンネルから列車が出てきた瞬間を撮影した一枚。桜が咲くのどかな風景の中を走る阪急電車に癒やされるデザインです。「すいたん」がトンネル上部から阪急電車を眺めています。


南千里駅のデザインマンホールの拡大写真

山田駅

次に到着したのは山田駅です。東改札口を出てすぐにデザインマンホールを発見しました。


鉄道シリーズ 阪急電鉄コラボ「千里線 山田駅」バージョン

大阪モノレールに乗り換えて、大阪国際空港に行くことのできる山田駅。これから旅行に出発するのか、「すいたん」は大きなスーツケースを持って、ウキウキしているようです。


山田駅のデザインマンホールの拡大写真

東改札口前にあるので、通勤・通学などで山田駅をよく利用する方にとってはおなじみのデザインマンホールかもしれませんね。


山田駅東改札口を出てすぐ

北千里駅

最後に、北千里駅に到着。改札口を出て駅西側のロータリーを進むこと徒歩約2分、歩道上で発見しました。


北千里駅改札口を出て駅西側のロータリーを約150m進んだ地点


鉄道シリーズ 阪急電鉄コラボ「千里線 北千里駅」バージョン

1967年に日本で初めて自動改札機を設置したことでも知られる北千里駅。デザインマンホールには、当時設置された改札機のモノクロ写真が使われています。そして、なぜか2010年に生まれた「すいたん」もこのモノクロ写真に登場しています。


北千里山駅のデザインマンホールの拡大写真

こうして7カ所の阪急電車のデザインマンホールをめぐってみると、それぞれの駅や地域の特徴がよくわかるデザインとなっていることがわかりました。

阪急千里線のデザインマンホールをすべてめぐるなら、阪急電車・阪神電車・神戸高速線の全線が1日乗降フリーとなる「阪急阪神1dayパス」がお得で便利。こちらもぜひご活用ください。


「阪急阪神1dayパス」

「阪急阪神1dayパス」について詳しくはこちら
https://www.hankyu.co.jp/ticket/otoku/

阪急電車のデザインマンホール誕生秘話

ところで、阪急電車のデザインマンホールは一体どのような経緯で作られたのか?さらに詳しく調査するべく、吹田市へ取材に行きました。
お話を伺ったのは、吹田市下水道部デザインマンホールプロジェクトチームの皆さんです。
※新型コロナウイルス感染防止対策を行いながら、取材・撮影をしております。


前列左から竹嶋さん、中村さん、紙谷さん。
後列左から尾形さん、長江さん、榊原さん、玉木さん

広報担当の竹嶋さんによると、
「吹田市のデザインマンホールの取組は、日頃は見えない下水道を知ってもらう『見せる化』の一環として始まりました。2017年に吹田市下水道部とシティプロモーション推進室の若手の職員を中心にプロジェクトチームを発足し、現在メンバーは21名です(2023年3月時点)」とのこと。

吹田市のデザインマンホールは、阪急電鉄などの鉄道会社とコラボレーションした「鉄道シリーズ」、吹田市の自然豊かな場所をモチーフとした「自然シリーズ」、ガンバ大阪とコラボレーションした「シンボルシリーズ」の3つのテーマが設定されています。


シンボルシリーズのガンバ大阪とのコラボレーションマンホール

さらに竹嶋さんからは「鉄道シリーズのデザインマンホールは、交通の要衝として発展し、阪急電鉄、西日本旅客鉄道(JR西日本)、日本貨物鉄道(JR貨物)、Osaka Metro、大阪モノレール、北大阪急行電鉄が走る“鉄道のまち吹田”をPRするために制作が始まりました。
制作するにあたり、各鉄道会社との協議、企画、撮影、デザインまでをプロジェクトメンバーが自ら実施しています」とのこと。

鉄道シリーズのデザインは、すべて現地の写真を使用しているのも特徴。
写真撮影担当の榊原さんからは、
「写真にはとてもこだわっています。まずは、その駅の象徴的な風景が撮影できる場所を探すところからスタート。電車は先頭車両を正面から撮影し、“電車の顔”を写すこともこだわりで、撮影前には必ず下見を行い、写真の完成イメージがつかめるまで撮影内容を入念に検討します。また、最も魅力的な写真が撮れる時間帯を確認しておくことも重要です。
こうして綿密な準備を行うものの、撮影日が近づくと当日は晴れるだろうかとドキドキします」とこだわりをお聞きすることができました。


デザインマンホールの拡大写真

また、「列車が運行されている時間帯で撮影するため、お客様を写さないよう配慮しています」とのこと。

さらに、榊原さんや長江さんは「吹田市のデザインマンホールには『すいたんを探せ!』というコンセプトもあり、すべてのマンホール蓋に『すいたん』が写っています。すいたんは各駅の特徴にあわせたアイテムを持っていることがありますので、細部までチェックして物語性も楽しんでほしいですね」と話します。
なんと、「すいたん」が持っているアイテムは、職員のみなさんが手作りすることもあるそうです。


職員のみなさんが手作りしたアイテムの一例。「すいたん新聞」と「ケーキ箱」

写真左の「すいたん新聞」は新聞記事の文章まで作成したとのことです。

吹田市では楽しいイベントを随時開催

最後に「吹田市のデザインマンホールをきっかけとして、下水道にも興味・関心を寄せていただけるとうれしいです」と話す竹嶋さん。

2023年3月には、吹田市にある鉄道シリーズのデザインマンホールをめぐる「デジタルスタンプラリー」も実施されました。
このイベントは、2022年10月に鉄道シリーズのデザインマンホールが全16カ所に設置完了したことを記念して開催されたものです。デザインマンホールを5カ所以上めぐると、写真左のデザインマンホールの図柄の紙製クリアファイル、写真右の吹田市下水道のリーフレットがセットで進呈されたそう。


紙製クリアファイルはデジタルスタンプラリーでしか入手できないグッズ

このデジタルスタンプラリーは残念ながら現在終了していますが、毎年9月10日の「下水道の日」前後に吹田市役所1階ロビーにて開催している「下水道パネル展」は今年も開催予定。ほかにもさまざまなイベントを実施していきたいとのこと。みなさん、お楽しみに。

吹田市の「下水道デザイン蓋プロジェクト」について詳しくはこちら
https://www.city.suita.osaka.jp/kurashi/1018541/1018544/index.html

まとめ

吹田市の阪急電車デザインマンホールは、駅や地域の魅力が表現されている素敵なデザインばかりでした。吹田市のプロジェクトチームのみなさんのこだわりも詰まっており、細部まで楽しめる工夫が凝らされています。
ぜひ、みなさんも千里線に乗って、吹田市のデザインマンホールめぐりを楽しみませんか。

いろんな種類のデザインマンホールに出会うことを目指して街めぐりするのも良し、周辺エリアの観光も楽しみながらマンホール探しをするのも良し。
実は、阪急沿線には千里線以外にも多くのデザインマンホールが設置されているとの情報も。
これを機会に、「阪急阪神1dayパス」を活用して、みなさんもぜひ阪急沿線の個性豊かなデザインマンホールめぐりをお楽しみください。

※マンホールめぐりや写真撮影などでは、通行の妨げや近隣の方々などにご迷惑とならないようご配慮をお願いします。

最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。

みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。

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