【阪急沿線おしらべ係 第42回】
能勢電鉄の公式YouTubeチャンネル「のせでんチャンネル」の制作現場をレポート
【2022年11月配信】
このコーナーでは、読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。
今回は能勢電鉄について読者の方からこんなご意見をいただきました。
「能勢電鉄の公式YouTubeチャンネル「のせでんチャンネル」(以下、「のせでんチャンネル」)について、更新されるのを毎回楽しみにしています。どのように動画を作られているのか、その様子をぜひ取材していただきたいです!」
とのこと。
おしらべ係では「のせでんチャンネル」動画撮影が行われる日に同行取材をさせていただきました。
北摂山系の一つ、妙見山のふもとを走る能勢電鉄
能勢電鉄は「のせでん」の愛称で親しまれ、兵庫県川西市の川西能勢口駅と妙見山や日生ニュータウンなどを結ぶ鉄道です。
沿線にはハイキングやバーベキュー、川遊びなどで人気の妙見山、あじさいで知られる頼光寺、源満仲をご祀神(さいしん)とする多田神社など、名所旧跡も点在しています。
能勢電鉄の全てを紐解く「のせでんチャンネル」の制作現場に同行!
能勢電鉄がYouTubeをスタートされたのは9年前ですが、それまでにも社内では能勢電鉄の車両紹介などの動画制作は行われており、公式サイトで公開したり、DVDで販売されていたそうです。
2022年10月某日に伺ったのは平野駅近くにある能勢電鉄の本社です。
緑豊かな場所に本社を構える能勢電鉄。車庫や運輸事務所などがここに集約されています。
本社ビルのすぐ隣を走っていくのせでん
※非公開施設のため、見学は受け付けておりません。
最初に動画撮影を担当されている3名をご紹介します。写真左より、鉄道事業部 車両課 車両係長の神原(かんばら)良明さん、鉄道事業部 鉄道統括課主事の田中文英さん、そして鉄道事業部 鉄道営業課 課長補佐の広岡道也さんです。(2022年11月現在)
※新型コロナウイルス感染防止対策を行いながら、取材・撮影をしております。
動画担当のメンバーは3名、社歴も個性も全く違うからおもしろい!?
すでに登録済という方も、これから視聴したいという方にも、公式YouTubeチャンネル「のせでんチャンネル」をより楽しんでいただけるよう、能勢電鉄の動画担当メンバーの皆さんを簡単にご紹介します。
広岡さん:趣味は鉄道写真と動画撮影で、能勢電鉄ホームページで2014年から動画投稿を担当。「のせでんチャンネル」では鉄道マニアとして、幅広い知識と深い電車愛で、のせでんの魅力を案内されています。
神原さん:のせでん沿線で生まれ育ち、お勤めも住まいものせでん沿線と地元への愛情は人一倍強く、昔の沿線の雰囲気や自らの実体験をもとに案内されています。入社以来、技術畑一筋で鉄道技術のことならお任せ、心強い案内役です。
田中さん:入社5年目で学生の頃から動画編集をされていた腕を買われ、1年前から撮影と編集担当に。企画・構成・撮影と編集に加えて、ナレーションや社内の出演調整など動画制作の全般的なことを担当。
リアル感を大切に!決め込み過ぎず、自由度のある撮影スタイルが生む臨場感
「のせでんチャンネル」の動画撮影は、業務の合間に行われており、アイデア出しと撮影にかかる時間は約2時間です。ファンの方、能勢電鉄を知らない方にも広く会社や電車のことを知ってほしいと、様々なアイデアを出し合い、動画制作に取り組まれています。
「のせでんチャンネル」を始めた頃は、事前に台本を作り、それに沿って進行していましたが、広岡さんと神原さんのまるで漫才のようなユニークな掛け合いや、現場の雰囲気を重視していった結果、今では台本を作らず、大枠のアイデアだけで撮影を進めるようになったそうです。
事前に、会議室で撮影の行程や概要、注意事項について説明いただきました。
能勢電鉄本社会議室で事前のミーティング
今回の撮影テーマは、沿線の今と昔を比較しながら歩く「のせでん今昔物語」シリーズの畦野(うねの)駅~山下駅編です。
「のせでん今昔物語」シリーズでは、沿線の変遷が分かる昔の写真や図面などが多く登場します。それらを資料室で探し、準備するのは広岡さんです。「解説だけでなく、写真など目で見て分かりやすい資料があることで、視聴者の理解もより深まる」と言います。
能勢電車の平野駅~一の鳥居駅間が単線だった頃の写真。線路と並走する国道173線より少し高い所を走っています。
2017年12月3日撮影された平野駅~一の鳥居駅間の様子。複線になり、国道173号線よりもかなり高い位置を電車が走っています。
高架工事中の山下駅の様子。
高架化工事中の山下駅付近の様子。開業当時は地面の上を走っていましたが、線路の高架化が進められている様子がわかります。
畦野駅から撮影スタート、山下駅まで本線上を歩いて移動
撮影のスタート地点である畦野駅までは、本社のある平野駅から電車に乗って移動します。
動画撮影は駅ホーム上からスタート、まず畦野駅が現在の姿になる前の工事中の写真が映されます。線路の上を通る橋脚が現在と同じ形のため、比較しやすい写真です。
橋脚とトンネル部分は完成し、手前に見える線路部分が工事中の様子
次はいよいよ本線上に降りて、畦野駅~山下駅間を歩きながら沿線の今をレポート。
本線上ということで、安全を確保して撮影を進めます。撮影前には、本線上で撮影を行うことを運転指令へ連絡、その情報は社内で連携されます。
そして、当日の運転状況などの情報を把握したうえで撮影に臨みます。
撮影中に電車が通過する時刻が近づくと、全員が線路わきによけて電車が通り過ぎるのを待ちます。電車が通過したら、撮影を再開。本線上を歩くのが初体験のおしらべ係取材班はドキドキしながら、取材をさせていただきました。
今と昔、写真を手がかりに丁寧に取材、撮影
昔の写真が残っているポイントでは、今とどう違うかなどを広岡さんが解説、昔の沿線の様子に詳しい神原さんからは思い出話などがどんどん出てきます。写真一枚で広がるトークはお二人のコンビネーションの良さがあってこそ!
また逆に、昔も今もほぼ路線(線形)に変化がなく、昔の写真のまま今も残っている場所も見つかりました。
広岡さん、神原さんによると「のせでん沿線の中で畦野駅~山下駅付近の高架橋までは、昔と比べて最も変化が少ない区間」だそうです。
本線上の撮影ならでは、迫る電車に圧倒される
撮影の途中では、運行中の列車を見送る場面が何度もありました。
本線上にいる時は必ず列車の方へ顔を向けて、腕を平行にあげ、運転士に「電車の接近をきちんと認識して、見ていますよ!」という合図を送るのが安全上のルールと教えていただきました。人と人とのコミュニケーションが鉄道の安全を守っているということを改めて感じました。
本線上で、電車が迫ってくる様子は迫力満点!こういった映像が撮れるのも社員の方が自ら撮影されているからこそ。
撮影中、田中さんはタブレットでの撮影が主な担当ですが、広岡さんと神原さんのお話が専門的になってくると、視聴者の立場で質問を投げかけて、より分かりやすい解説をお二人から引き出したりもされていました。田中さんの撮影機材はタブレットのみ、マイクなどの使用はありません。シンプルな機材で撮影を行っておられるのにも驚きました。
さらに歩くこと数十分。
すぐ目の前に山下駅が見えてきました。
山下駅に到着、撮影は終了です。スタートからゴールまで約1時間、この後は編集作業と社内確認を経て、動画が投稿されます。どのような動画になるのか、今から楽しみです。
登録者数1万人まであともう少し!皆さまの登録をお願いします!(2022年11月現在)
準備資料を元に解説を担当される広岡さん、そして沿線育ちの神原さんからは昔の風景や、沿線で生活してきたお話などがどんどん出てきます。そして、一人の視聴者として客観的な視点をもって撮影に同行される田中さん。
台本がないとはいえ、沿線と電車を知り尽くした3名によるチームワークを感じる取材となりました。
動画担当者が選ぶ「私のイチオシ動画」
最後に「「のせでんチャンネル」の中で最もおすすめの動画は?」との質問にお答えいただきました。
広岡さんが選ばれたのは、のせでん今昔物語~あの頃の面影を探して~【川西能勢口駅編】
撮影の際に、川西能勢口駅周辺に「妙見焼」というお菓子があったことを知り、とても印象深かったとのこと。妙見焼が何かはぜひ動画でご確認ください。
神原さん
阪急電車にないもの、のせでんにあるもの(前編)
阪急電車にないもの、のせでんにあるもの(中編)
阪急電車にないもの、のせでんにあるもの(後編)
見た目は同じでも、実はこんなに違う。阪急電車とのせでんの違いを探すシリーズ動画。技術的なことだけでなく、おもしろいエピソードもふんだんに取り入れた必見動画です。
田中さん
のせでん密着ドキュメント~新米運転士に密着!~
運転士になったばかりの方を密着取材、出演交渉から撮影まで、大変だった分、とても印象に残った動画となったそうです。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。
みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。
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