【阪急沿線おしらべ係 第37回】
街中をたくさん走っている阪急タクシーの送迎依頼、どのように手配されているのか?
【2022年6月配信】
このコーナーでは読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。
今回は阪急タクシーの配車予約について読者の方からこんな質問をいただきました。
阪急タクシーをよく利用していますが、たくさん走っているタクシーをどのように手配されているのか知りたいです
とのこと。
出張の朝、空港までタクシーに乗る、雨の日のお出かけにタクシーに乗る、長期休暇の際に駅までタクシーに乗るなど、自家用車があってもタクシーを利用する場面ってありませんか?
電話をかけて、行先などを伝えるだけで、希望の場所に配車される阪急タクシー。今回は、その裏側で、どのような作業が行われているのかを取材しました!
阪急タクシーのりばが設置されている駅があるなど、阪急沿線を中心としたエリアで営業をしている阪急タクシーは、阪急電車をご利用の方にとっては特になじみ深いタクシーではないでしょうか。
さっそく調査に出かけてきました!
全ての阪急タクシーの配車は本社内で行われている
今回の取材先は、阪急電鉄の宝塚線・服部天神駅から徒歩約7分のところにある阪急タクシーの本社です。
本社の建物の中に、阪急タクシーの全営業エリアのタクシーを管理し、指示(配車)を行うための部署「配車指令」が設けられています。社員やパートの方を含めて約80人が交代で勤務し、年中無休で稼働しています。
※非公開の施設のため、見学は受け付けておりません。
いよいよ「配車指令」の中へ潜入!
取材の案内をしていただいたのは営業部・営業企画室の芝田さん。
さっそく配車指令の中を見せていただきました。コロナ禍ということもあり、間仕切りが目立っていますが、普通の事務所とあまり変わった点はないように見えます。
各机には2台のモニターが設置され、ヘッドセットを装着した職員が次々とお客様からの電話に対応しています。通常時は約12人で対応するとのことですが、最大22人まで対応できるスペースが確保されています。
阪急タクシーの営業エリアの中で一日に稼働しているタクシーは約320台、営業中の全てのタクシーの現在地、お客様の乗車の有無などの状況を把握しながら、各タクシーへの指示や事前予約の受付などが行われていきます。
配車指令の種類と業務内容は?
配車指令の役割は大きく2つあります。
1つ目は「今から乗車を希望されるお客様への配車」、2つ目は「タクシー配車の事前予約受付」です。
今回は「今から乗車を希望されるお客様への配車」についての手順を取材させていただきました。
電話受付から配車完了までの手順は大きく7つに分かれています。
①電話を受ける
まずはお客様からの電話を受け付けるところからスタートです。
朝礼では、壁に貼られた電話対応の基本を一斉唱和します。お客様との最初の接点である電話受付をきちんと対応できるように常に心掛けているとのことです(2022年6月時点ではコロナ禍のため停止中)。
②お客様情報の確認
確実な配車を行うために詳細な情報を手順に沿って聞きながら、端末を操作して登録していきます。
③お客様が乗車を希望される場所とその周辺のタクシーを地図上で確認します。
こちらは営業している各タクシーの位置や利用状況を見るための操作端末の画面です。
画面には、お客様が乗車中であれば赤色、空車は青、配車中の場合は紫など、色分けされた〇印がたくさん見えます。各タクシーに搭載したGPSを利用し、リアルタイムでタクシーの情報を確認できるようになっているそうです。
次に見せていただいたのは、お客様の場所を確認するための地図です。
このシステムに搭載された地図データについて「地図は定期的に更新しているのですか?」とうかがうと、意外な答えが返ってきました。
「電話応対した担当がそれぞれに、お客様やドライバーから得た情報を書き込み、更新している」とのこと。
参考に公共施設であるパナソニックスタジアム吹田を見せていただきました。ゲートの位置、どこからタクシーが入れるかなど、職員が追加した情報が蓄積されています。
施設などの正面玄関と裏口の位置、車止めの位置など、お客様から待機場所について細かな指定があった場合でも、この地図を見ればすぐに確認できるという優れもの。さらに「この画面の中に位置情報をピンで落とすと、タクシーに搭載されたカーナビにお迎え場所までの道順も表示されます」とのこと。
④配車ボタンを押す
住所などの聞き取りが終わり、システムへの入力が完了すると、配車可能なタクシーの候補が写真のように一覧で表示されます。「お迎えに行く場所から一番近い所にいる営業車をシステムが自動で検索してくれます。画面に表示されたタクシーの中で空車であり、かつ配車手配が可能な車があるかを確認し、配車ボタンを押します。ドライバーにはカーナビを通じて連絡が入るようになっています」と芝田さんが説明してくれました。
⑤配車指令から連絡を受けたタクシーのドライバーが了解ボタンを押し、配車指令とドライバーの双方が確認し受付業務は完了。お客様の元へタクシーが向かいます。
電話受付から配車完了までの所要時間は平均で1~2分、あっという間に手配が完了しました。
日頃の疑問についても聞いてみました。
さらに、日ごろ疑問に思っていたことについても教えていただきました。
住所を一度聞いただけで、間違いなく配車できるのはなぜなのか?住所を普通に話す早さで伝えても、聞き直されることもないですし、確認されることもないため、電話の向こうでは何がされているのかと不思議に思っていました。
お客様の住所を聞く時は、最初に兵庫県、大阪府、京都府からスタートします。
大阪を選んでみると、次に表示されたのは高槻市、茨木市、摂津市などの候補です。
次は、さらに細かな町名が表示され、番地へと続きます。電話で住所を聞きながら、該当のボタンを押していくと、お客様の住所にたどり着くことができるようになっているんですね。ボタンを押すごとに地図も一緒に反応し、配車希望の場所を特定していきます。
とてもシンプルな仕組みですが、送迎場所を短時間で把握するためのシステムが支えていたのですね。
配車指令に欠かせないアイテムは何?
また、配車指令担当の方にとって必須の道具についても聞いてみました。
メモ用紙とペン、ヘッドセットです。
操作端末で全ての業務に対応できますが、やはりメモ用紙とペンは欠かせないとのこと。とっさにメモを取る時などは、アナログが早くて確実だそうです。そしてもう一つはヘッドセットです。受話器を使うこともありますが、マウスとキーボードを同時に操作するため、片手がふさがってしまうのはとても効率が悪くなるそう。
さらにモニターの上に貼られたマニュアルです。
タクシー配車の際に、聞かれることが多い項目などを一覧で表示しています。
こちらはスキー板やスノーボードの積み込み可能なサイズなどが記されたもの。
道路事情の把握は最重要事項ということで、事務所内には最新の道路工事情報なども貼られています。
お客様のお役立てた時が一番の喜び…。
もう一つ、繁忙期や一日で忙しい時間帯などについても伺いました。
「忙しくなるのは、足元が悪くなる雨や雪の日、夏の暑い日、寒い日もご利用が増えますね。事前予約については、休暇前に空港までの送迎予約が増えますし、平日の朝は出張や病院までの送迎、夕方は帰宅時のご利用の予約が多いですね。」
最後にお仕事を通じて嬉しかったこと、大変なことについても伺ってみました。
「急な送迎のご依頼にも応えられた時などに『助かりました!』と喜んでいただけると、やはりうれしくなります。反対に、雨の日などで依頼が急増した場合などは、どうしても配車ができないこともありますので、お役に立てず申し訳ないと感じます。」
阪急タクシーは、ますます便利に、スマートに。
取材の最後に芝田さんからとっておきの情報も教えていただきました。
「スマートフォンで配車依頼する方がよいという方には、阪急タクシー専用アプリ『阪急タクシースマホ配車』がおすすめです!」とのことです。
このアプリは、スマートフォンならではの直感的な操作とGPS機能で、お客様のいらっしゃるところまで、簡単にタクシーの手配を依頼できます。「電話してもつながりにくい」「細かい説明が面倒」「通話料がかかる」などを解消できるのも便利です。
また阪急タクシーでは、新しい決済端末の導入も進んでいるとのことです。クレジットカード、PiTaPa・iDに加えて、全国の交通系ICカード(ICOCA、Suica等)、各種QRコード決済、GO Pay(キャッシュレス決済)など決済方法も色々選べて、ますます便利になっています!
※搭載車は後部座席ウィンドウに「GO」のロゴステッカーを掲示。全車搭載は秋ごろを目指しています。それまでは搭載車と非搭載車が混在していますので、あらかじめご了承ください。
詳しくは
http://www.hankyu-taxi.co.jp/topics/index.cgi?c=zoom&pk=181
さらに、4月からタクシーアプリ「GO(株式会社Mobility Technologies商標)」の導入も順次始まっています。こちらもスマートフォンから簡単に、スピーディーにタクシーを呼べるようになっています。
なお阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄のみでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)の質問も受け付けています。残るは阪急バス!皆さまからの阪急バスへのご質問もお待ちしています。
みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。
阪急沿線アプリでは、阪急タクシーと連携して駅でのタクシー乗り場案内や配車予約先の電話番号などをアプリ上でご案内しています。ぜひご利用ください。
https://www.hankyu.co.jp/app_lp/
まとめ
今回の取材の中で一番興味を引いたのは、皆さんの手で更新し続けられているという地図です。いつでもすぐにタクシーの手配ができる裏には、最新のシステムだけでなく、こんな地道な取り組みがあったのですね。地元の方しか分からないような詳細な情報まで、地図に落とし込まれているのは本当に驚きました。
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。
みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。
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