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【阪急沿線おしらべ係 第30回】十三駅すぐのところに見える「柿しぶ」ってなに?

【2021年11月配信】

TOKKアプリから好評だった、阪急沿線おしらべ係。
このコーナーでは読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係が調査します。

今回は、阪急大阪梅田駅行きの電車が、十三駅に向かう際、車窓から見える看板と建物について読者の方からこんな質問をいただきました。

「十三駅からすぐ、宝塚線と京都線の間にある”柿しぶ”という看板の建物があるんですが何の建物か気になっています」

この質問をいただいて、“十三駅手前で右側に見える学校近くの縦書きで渋めの!”とすぐピンときました。こちらにさっそく行ってきましたよ!

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宝塚線と京都線から見える「柿しぶ」は印象が全然違う?

訪れたのは、あの柿しぶ看板が出ている「大阪西川」。実はこちら江戸時代に京都で創業し、今の地に来たのは大正末期という大阪で唯一の約100年続く柿渋専門店です。
(今の地に移ったのは、酒の街・灘への輸送を考えてのことだったとか)

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今回の質問を尋ねてみると「縦書き看板なら京都線、横書き看板は宝塚線から見えますね。あの看板のある建物は、柿しぶの工場なんです」と社長の西川さん。

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実は工場には縦書きと横書き二つの“柿渋”看板があり、京都線から見えるのは、工場に書いてある縦書きの柿しぶの文字。宝塚線から見えるのがキャラクターもデザインされた、横書きの柿しぶ看板なんです。なるほど、宝塚線と京都線で印象が大きく違うのも納得ですね。

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大阪西川は、社長の西川さんご夫妻と娘さんで4代目となる大野さんの3人が家族経営しておられ、電車から見える看板のある工場と、十三駅東口すぐのところにある柿しぶの様々な商品を購入できるショップを運営されています。

大阪のこの場所で自然発酵!?

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そもそも柿渋とは、夏の間のまだ青柿の時に収穫した渋柿を圧搾し、その液を発酵・熟成させたもの。これらは、古来から塗装や染料・飲用などに使われていて、化学製品が登場するまでは生活必需液でした。

見せていただいた工場には、大きな樽がいくつも並んでいます。こう見ると醤油や味噌の樽のようですよね。実際に長年使用されている樽を混ぜる棒は、柿渋がたっぷり固まり、まるで焦げがついたような状態!

大阪西川では、愛媛、岐阜、京都などの契約農家から飲用にも向いている渋柿を仕入れているのだとか。この渋柿から圧搾したものを、昔ながらの方法で自然発酵させているのだそう。

柿渋は性質状、どろどろとゲル状に固まったりすることもあるのですが、西川さんの目利きにより継ぎ足しブレンドなどを行うことで高品質な柿渋を製造されています。

柿しぶは飲むもの?味わったことのない口内感覚

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今回、お話をお聞きして初めて知ったのが、「柿渋を飲める」ということ。

「柿渋は、ポリフェノールが赤ワインなどに比べ約10倍も多いんです。また自然のもののみのため、食物繊維やミネラル、ビタミンなども豊富です。ほかに柿渋と同じものを見つけることが難しいほどなんです」と西川さん。

出していただいたのは、「古伝のむ渋 玉の渋」2,376円。ほんのり赤みがかってとろりとした液体です。

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柿しぶは飲むもの?味わったことのない口内感覚に。 ※写真はイメージです。

「柿渋のにおいは、銀杏をイメージするといいかもしれません。最初に飲むときは、唇に少し付けて舐めるようにするのがいいと思います」

鼻に近づけるとにおいは確かに銀杏のイメージ。教わった通り唇につけて舐めてみると、渋みの強いワインや紅茶を飲んだ時のような、口内全体がキュウとなる感じに。そのあとに口の中にもろもろとしたものを感じます。これは口内にあったたんぱく質なのだそう。

西川さん曰く「飲むと口の中がスッキリしませんか?柿渋には、抗菌作用もあるため口臭にもよいと言われています。飲むだけでなくうがいに使ってもらってもいいと思います。また血行が良くなったり、アトピーや二日酔いにも良いと言われています」とのこと。

「うちの小学生の子どもも柿渋をくさいとは言いますが、口内炎になるとこれを塗ると治りも早いとわかっています。また足のにおいが気になる時も、これで洗うといいんですよ」と大野さん。

柿しぶの全方位的パワーに驚き!

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こんなにパワーの強い自然のもので、子どもが飲んでも大丈夫なのか、またアレルギーなどもないのか不思議に思って尋ねてみると

「老若男女問わず飲んでいただけます。また飲み合わせも問題ありません。原液が飲みにくい場合は、オレンジジュースや牛乳、水などに混ぜて飲むと飲みやすいと思います。とはいえ、柿渋自体はゴクゴク飲めるものでもないですし(飲んでもいいけれど、渋くて吐き出してしまうとのこと。一日10mLぐらいが目安)、においも味も個性的で好き嫌いは分かれます。自分の身体に何らかの効果を感じないと、飲み続けるのは難しいとは思いますね」という答え。

私は飲むと、お酒を飲んだような熱さと血行が良くなることを感じました。くさいけれど、つい気になって嗅いでしまうにおいってありますよね?そんなイメージで、苦手ではありませんでした。またアトピーもあるため、西川さんと大野さんのお話に興味津々です。

実際、西川さんの手は、驚くほどしっとりツヤツヤ。

「毎日柿渋を触っているからでしょうね。自分ではあまりわからないんですけど、人に言っていただくことはあります」と照れた言葉。飲むのに抵抗がある人は、柿渋を使った石鹸「柿渋石鹸」30g 484円もあるので、そこから初めてみるのも良さそうですね。

自分たちの手の届く範囲で必要としてくれる方に柿しぶを届けたい

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柿渋は魚網や和紙、木材の耐水や耐材のために使われるほか、日本酒の酒袋や滓(おり)下げなどにも古くから使われていました。化学製品や医療の発展で目立たない存在とはなっていますが、近年柿渋のはたらきが科学的にも明らかになり、健康志向の高まりや自然素材が見直され、また注目を集めています。

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「柿渋は日本古来のもののため、日本人の身体にも合うと思っています。大衆受けするものでは決してないですが、身体に合うという方は本当に喜ばれ長く続けておられます。今、免疫やウイルスなどで注目を浴びることも多いのですが、興味を持ってもらえる方に届けられる範囲内で長く続けられれば」という言葉が印象的でした。

大阪西川
10:00~18:00
日曜・祝日は休み
06-6301-2728
大阪市淀川区十三東4-11-1

まとめ

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柿渋は耐水性もあって、味のある色合いが魅力の民芸品などに使われている印象が強く、「十三でなぜ柿しぶ?」と思い車窓を眺めていたのですが、実はポリフェノール量の豊富な発酵食品としての一面もあり、約100年もの間十三の地で柿渋を作り続けておられることは新しい発見でした。
また、柿しぶ自体はにおいがすごいのに、乾くとなくなり口臭や体臭などにおいのもとを吸着したり、保湿効果や二日酔いにも良いといううれしい効果がたくさんあることも驚きで、改めて古の人の知恵に敬服します。
気になる方は、健康補助食品としてはじめてみてはいかがでしょうか。