【阪急沿線おしらべ係 第23回】
神戸三宮、ターミナルビルの歴史と今

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【2021年4月配信】

読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係のトッコが調査する「おしらべ係」。

今回は阪急沿線のニュース、神戸三宮に開業した「神戸三宮阪急ビル」がテーマ。

神戸の玄関口である阪急神戸三宮駅前に、4月26日、「神戸三宮阪急ビル」が開業しました。神戸市民が待ち望んでいた、注目が集まる場所です。

そこで、今回はこのターミナルビルの歴史を少し振り返ってみることにしましょう!新しいビルの見どころも調査してきましたので、最後まで読んでみてくださいね。

※神戸三宮阪急ビルは、緊急事態宣言の発令による自治体の要請に従って営業されています。

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すらっとそびえ立つ、神戸三宮阪急ビル

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駅の構内を出て空を見上げると、天高くそびえ立つ神戸三宮阪急ビルが現れます。

反対側から見ると、高層棟のすらりとした姿がよりいっそう際立っています。

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建物は地下3階、地上29階建てで、商業施設「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」、ホテル「remm+(レムプラス)」、オフィスで構成されています。

ビルの顔とも言える低層棟のちょっとレトロな外観。これを見て、昔のいろんな思い出が蘇ってきたり、懐かしさを感じたりする方がいらっしゃるかもしれません。

このデザインは、かつてこの地にあり、神戸のシンボルとして長年神戸市民に親しまれていた「神戸阪急ビル」を踏襲したものなんです。

では、神戸阪急ビルとは?今日にいたるまでの歴史を少しさかのぼってみましょう。

神戸阪急ビルの歴史

神戸阪急ビルが完成したのは、1936(昭和11年)4月。神戸線が三宮まで延伸されるのを機に、「神戸駅(現・神戸三宮駅)」のターミナルビルとして建設されました。

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ビルの中に阪急電車が吸い込まれていく独特の構造、ヨーロッパ風のクラシックでモダンな意匠が斬新!今見てもおしゃれなデザインですよね。

旧神戸阪急ビル外観(クレジット:阪急電鉄提供) (1).jpg

1980(昭和55)年2月

この写真を見ると、ジオラマにして家に置いておきたい......と鉄分高めの欲が湧いてきたのですが、昔、本当にジオラマが発売されたことがあるそうですよ。

余談はさておき、神戸阪急ビルは駅のホームをはさんで、地上5階、地下1階の東館と、地上3階、地下1階の西館で構成されていました。

開業を控えた西館の外観はこんな感じ。

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このビルを設計したのは、阿部美樹志氏という土木技術者。日本初の鉄筋コンクリート高架鉄道を設計した人物で、梅田阪急ビル(阪急百貨店)や阪急西宮スタジアムなども手がけた方です。

ビル内には、レストランや映画館、理髪店、書店などに加えて、サービスステーションや健康相談所などが入居。また当時としては珍しく、冷暖房やエスカレーターも完備されていて、神戸の新名所としてにぎわいました。

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ちなみに、駅の階段や床は、勤務後の駅員さんによって定期的にピカピカに磨き上げられ「まるでホテルのよう」と評判だったそうです。

以降、この神戸三宮ビルを中心に、周辺エリアは繁華街としてどんどん発展。話題の映画を観たり買い物をしたり、家族のレジャーや恋人とのデートに、神戸市民がこぞって集まる場所になりました。

ところが、1995年の阪神・淡路大震災で神戸三宮ビルも被害を受け、市民の思い出と歴史が刻まれた建物は解体されることに。

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工事を経て、1995年12月2日、神戸阪急ビル東館がオープン。その後、暫定的な建物として20年以上営業を続けていました。

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仮設の建物で営業を続けるのと同時に進められた旧神戸阪急ビルのリニューアル計画では、神戸の玄関口にふさわしいランドマークとなること、震災からの復興のシンボルとなることをデザイン方針としました。

そして、「旧神戸阪急ビルのフォルムを再生」をコンセプトに、かつてのビルの手書きの設計図や現存する当時の資料を参考に、素材や色彩を引き継いだデザインが完成。

そのレトロモダンなデザインは、低層棟のビルの外観だけでなく、人が行き交う場所にも取り入れられています。

例えば、阪急神戸三宮駅の東側、改札を出て階段を降りたコンコースや入り口。

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クラシックな色合いと、アーチ状の窓やレトロさのある照明が、洗練された神戸の街の雰囲気にも合っていますよね。今回、久しぶりに神戸三宮駅を訪れたのですが、その変わりぶりに驚きました。

新しい神戸三宮阪急ビルはどんなお店がある?

それでは、新しいビルにはどんなお店や施設が入っているのか?気になる方も多いと思うので、開業前に行われた内覧会の様子をご紹介していきましょう。

が、今は緊急事態宣言が発令されているさなか。遠方にお住まいの方は、落ち着いて訪れることができる時のための予習として、近くの方はテイクアウトできるお店の参考に、それぞれの範囲内で参考にしてみてくださいね。

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神戸三宮阪急ビルの中でも、特に注目は商業ゾーンである「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」。飲食店や日用品を販売するショップ37店舗が出店しています。その中心は1階の飲食店が連なる高架下エリア。

ビルの外をぐるっと周ってみると、飲食店がずらり!「山側」と「海側」の2手に分かれ、どちらも店舗の入り口が道路に面しています。

山側はこんな雰囲気。

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どの店も石畳の通りにオープンテラス席が設けられていて、ヨーロッパの街並みのように自由で開放的。天気が良い日はめちゃくちゃ気持ち良いはず。道路は一般車の通行はできず、17時以降は歩行者天国になるので、のびのびと過ごせそうです。

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変わって、反対の海側はこんな感じ。

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おっと。山側とはまた異なる独特の雰囲気です。

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JR高架下に連なる飲み屋街のレトロ感と、気さくでおしゃれなお店が立ち並ぶ雑多な雰囲気が面白い!赤ちょうちんがぶら下がる下町の魅力もある、アジアの都市の路地裏といった感じ。

気になる店舗は、スタンドスタイルで蕎麦とグルテンフリー天ぷらを提供するお店や、世界の様々な国の屋台フードを楽しめるお店といったイマドキな店から、串揚げ、お好み焼き、うどん、話題の台湾カステラまでバラエティ豊か!

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テイクアウトOKの店舗も多いので、おうち時間のお供にまずは味を確かめてみても良いかもしれませんね。

トレインビューの部屋もある!

ほかにも、地下には都市型スーパー「阪急オアシス」と、その場で買ったお総菜やお酒をイートインOK(通常営業時)な「キッチン&マーケット」が。多彩なメニューがそろううえ駅直結なので、ここも、毎日のテイクアウトごはんに活躍しそう。

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ビルの最上階29階は、カジュアルに贅沢なメニューが味わえるレストランと、オーセンティックなバー。地上120メートルから、神戸のパノラマを360度一望できる絶景が待っています!

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そして17~28階は、山、海、夜景と、神戸ならではの眺望が贅沢なホテル「remm+(レムプラス)」。トレインビューが楽しめる部屋もあるそう!

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阪急電車とJR、ポートライナーの車両が行き来する様子を一日中眺められるので、鉄道ファンは必見です!

まとめ

震災から26年、神戸の復興のシンボルとして復元されたランドマーク。今後も駅前周辺の再整備が進められ、ここから新たな神戸の歴史と文化が生まれていくのでしょう。移動が制限される日が続きますが、心置きなく出かけられる日が来たら、神戸三宮の変化を実感しに行ってみてくださいね。

最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。

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