【阪急沿線おしらべ係 第19回】
十三駅「号線」の謎<後編>

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【2020年12月配信】

読者のみなさんからお寄せいただいた、阪急沿線でふと見つけた「気になるもの」や「面白いもの」などを、阪急沿線おしらべ係のトッコが調査する「おしらべ係」。

前回の記事では十三駅「号線」の謎<前編>と題して、

十三駅と大阪梅田駅の号線表示が逆になっているのはなぜか?

6号線までしかないはずの十三駅に存在する、9号線とは

という、みなさんから寄せられた疑問を解き明かしました。

号線表示逆順の謎は、「ルールに従って番号を付けているから」、9号線は「方向転換をするための線路として使われている」ということが判明しましたね。(まだ読んでいない方はこちらから)

お待たせしました、今回は<後編>をお送りします!!

前回はもりだくさんでたどり着けなかった、

7号線、8号線は一体どこにあるのか?

という、読者の方から投稿いただいた疑問についてお答えしていきますので、最後までお付き合いくださいね。

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消えた7号線

今回も引き続きお話をうかがったのは、阪急電鉄運輸部・上田さん。約50年にわたって阪急電鉄を支え、時代と共に変わりゆく阪急の歴史を見てきたお一人です。

早速ですが上田さん、7号線は一体どこにあるんでしょうか?

「7号線は、昔、京都線で使っていた線路で、今はもう存在しないんです」

もう存在しない、消えた線路......。

その言葉だけで、理由を知りたくて妙にワクワクしてしまうのは、トッコだけでしょうか。続きを教えてください!

.

十三駅から大阪梅田駅の間は、現在は神戸線、宝塚線、京都線とも、各線専用の線路で繋がっていますよね。かつて京都線は専用の線路がなく、宝塚線の線路を使って梅田に乗り入れていた時代があります。

十三駅に、梅田まで直通の京都線の線路(5・6号線)が完成したのは、1959年のこと。同じ頃に、十三駅の6号線ホームの東側に7号線ができたと思われます。

下の写真が7号線です。

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上田さん撮影

ただし、7号線は梅田までは乗り入れず、十三駅止まり。当時の梅田駅には京都線用のホームは2線しかなく、7号線は朝夕のラッシュ時の混雑緩和のため、十三駅から正雀駅までの折り返し運転などに使われていました。

1969年、大阪地下鉄6号線(堺筋線)と相互運転を開始した際に、河原町駅~天神橋駅(現在の天神橋筋六丁目駅)間の「普通」は、河原町駅~十三駅間で運行され、ほぼ終日にわたり十三駅7号線ホームを使用していました

京都線の梅田駅ホームは、1971年に旧梅田駅(今の阪急うめだ本店の場所)から現・大阪梅田駅の場所へ引っ越しが行われ、1973年に3線に増設されました。

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1973年頃の十三駅梅田側(上田さん撮影)

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1973年頃の十三駅6号線(上田さん撮影)

梅田駅の京都線が3線で運用されるようになった後も、十三駅7号線は十三駅で折り返し運転をする列車用に使われていましたが、1976年、その列車も梅田駅まで乗り入れることになり、ついに7号線は役目を終えることになったのです。

それでは、7号線があった場所はどうなったのか?

廃止となったことにより、1線分、駅に余分なスペースができますよね。

当時、十三駅の課題の一つに、4・5号線ホームの宝塚(京都)方面側が幅2.8メートルと狭いことがありました。

そこで7号線のスペースに5・6号線の線路とホームを順次移設して、4・5号線ホームの幅を9.2メートルに拡幅する改造工事が実施されました。その結果、7号線は十三駅から完全になくなることになったのです。

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1978年6月、梅田方面側から見た十三駅

今の十三駅に行って確認してみましょう。

4・5号線ホームには、トイレや休憩スペースが設けられてゆとりのある空間になっていますね。

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そして肝心の7号線があった6号線ホームはというと。

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6号線ホームはなんとなく他のホームより少し幅が広い感じもします。

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大阪梅田方面側のホームがぐいっと張り出したように広くなっているところがあります。この付近が、7号線の終点(車止めがあった場所)でした。

今はなき7号線。ホームの片隅に、小さな痕跡を見つけることができました。

それでは8号線は...?

それでは、8号線はどうでしょう。これも消えてしまったのでしょうか?

「8号線は、保線基地と本線を繋ぐために使われているんですよ」

保線基地? 聞き慣れない言葉です。

「保線基地とは、レールをメンテナンスする車両を置くための線路のことです」

みなさんは、十三駅でマルーンカラーではない、こんな車両が停まっているのを見たことはないでしょうか?

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別の読者の方から、こんな質問もいただいておりました。

線路の脇に停まっている、フクロウの絵柄の車両は何?

上の写真は、軌道の状態を測定・検査する際に使う「軌道検測車」という車両なんです。

こっちのフクロウのイラストが描かれている車両は、レールのメンテナンス車両「マルチプルタイタンパー」。

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電車が何度も走行することによって、線路は自然と少しずつ歪んでしまいます。線路の歪みは、騒音、振動を引き起こし、乗り心地の悪さの原因に。これを防ぐために活躍するのが「マルチプルタイタンパー」で、道床のつき固め作業を行います。

また、レールの摩耗が原因で、騒音や振動を引き起こす場合も。そこで登場するのが、「レール削正車」という大型機械。

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レールを削って平滑にする作業を行います。削った金属カスは集塵装置で吸い取るので、飛び散らないよう配慮されているんですよ。

こうしたメンテナンス用車両が動き出すのは、最終列車がお客様を運び終えた後。みなさんが寝ている間に、基地から8号線を使って本線へ出て行き、作業を終えると再び8号線を通って基地に戻ります。

で、どこに8号線があるのか?というと、

1号線(神戸線の大阪梅田駅→神戸三宮方面)の西側にあります。

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十三駅8号線は、ホームを見渡してもどこにも号線表示がされておらず気づかないですが、きちんと存在し、安全を守るために陰ながら活躍している線路なのです。

まとめ

今回は拡大版として、2回にわたって十三駅の線路・号線について調査してきました。もりだくさんの内容でしたが、いかがでしたでしょうか。

知れば知るほど面白い、阪急電車や沿線の謎。

最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。

みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。

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