【阪急沿線おしらべ係 第5回】
夙川駅付近にあるあの線路は使われていない?
【2019年6月配信】
阪急沿線おしらべ係のトッコが、みなさまが阪急沿線で気になることを調査する「阪急沿線おしらべ係」。
前回レポートした「第5回 屋上に乗っている車の正体!」の記事について。
読んだ方からの感想によると、ご紹介した洋菓子店は地元では有名なようで、やはり、あのオレンジ色の車は街ナカでかなり目立っていたそうですよ。こうして多くの方の記憶に焼き付いているんですね。
さて、今回は鉄道ネタです!
投稿いただいた質問は
「夙川駅の北改札前にある線路は使われていないの?」
という内容。
今回もトッコがしっかり調査してきました!
行き止まり?ここが例の線路
駅の北西にあるベーカリーやカフェなどへのアクセスに便利な北改札口。
北改札を出てすぐ、駅舎に沿ってカーブしている線路が、今回投稿いただいた懸念の線路です。
駅の構内図で示すと、ここですね。
そうえば北改札前に踏切がありますが、いつ行っても開いている気がします。
つまり電車が通らないということです。
梅田方面行きホームの端から三宮方面側を見てみると、行き止まりになっているようです。
というわけで、今回は夙川駅を管轄する神戸三宮駅の浦田駅長を訪ねました。
(伺った先は西宮北口駅。浦田駅長は西宮北口の駅長も兼任されているんです)
(何も言わずとも、満面の笑みで敬礼のポーズをとってくださる!!)
「早速ですが、夙川駅の北改札前の線路は使われているんですか??」
「はい。実は毎日使っているんですよ」
え、毎日ですか!
「甲陽線を走る電車が、車庫との行き来で使っているんです」
1泊2日、甲陽線へ出張の旅
甲陽線は夙川駅を起点に苦楽園口駅と甲陽園駅がある、わずか2駅だけの路線。
線路が一本しかない単線で、3両の電車をワンマン運転で運行しています。
甲陽線は、早朝や深夜に利用されるお客様は少なく、この時間帯は1編成だけの運行なのですが、朝のラッシュ時間から夜までの時間帯は2編成で運行しています。
****
朝、西宮車庫を出た回送電車が、例の線路を通って甲陽線にやってきます。
その電車は終電まで甲陽線でお客様を運び、
そのまま夙川駅で一晩明かします。
翌朝、始発から再び運行を始め、
朝のラッシュ前に新たな1編成が西宮車庫からやってきて、その後2編成で運行。
前日から動いていた1編成は、
その日の夜、車庫へ戻っていき、今日来たばかりの1編成は終電まで動いて夙川駅で1泊する...
というのを繰り返して運用しているのです。
家(西宮車庫)を出て、1日働いたら宿(夙川駅)で1泊し、また1日働いて、ようやく我が家へ帰る。
電車にとっては、1泊2日の出張というわけです。
このように、
北改札前の線路が使われるのは、
早朝と深夜(土・日曜は夜7時台)の2回だけ!!
毎日夙川駅を利用する人でも、該当の線路に電車が走っている姿を見たことがない人は、案外多いかもしれませんね。
ところで、面倒くさがりのトッコは、
「数時間後にまた走るんやから、わざわざ車庫に帰らなくても、例の線路にそのまま置いておけば楽なのでは...」
と思ってしまいます。
「車庫に戻るのは車両を点検するためでもあります。それに、車両を無意味に線路に置いておくと、緊急時に線路が使えなくなってしまいます」
なるほど。
安全に運行するために、車庫へ戻ることは必須なんですね。
行ったり来たり。意外と大変な甲陽線への移動
西宮車庫から三宮方面行きの線路を通り、夙川駅で北改札前の線路に入って、甲陽線へ行くんですね。
疑問が解決してスッキリしました!
「そうなんですが、甲陽線へ入る時、電車は何度か折り返しをしないといけません」
と、浦田駅長。
どうにも甲陽線は、
「他の支線にはない、特殊な入り方」
をするのだそうです。
線路をよくよく見てみると...
こんな風になってます。
三宮行きの線路から、直接、例の線路へは入れそうにないですね。
どうやって北改札前の線路に入っていくのか、浦田駅長に教えてもらったルートを、かつて甲陽線を走っていた920系のおもちゃで再現してみました。
(おもちゃは現在販売されていません)
ジグザグと、行ったり来たりを繰り返して、ようやく甲陽線へ入っていくのです。
実際にこの目で確かめてみようと、朝4時に起きて夙川駅へ行ってきました!
****
とある土曜の朝、6時過ぎ。
三宮方面行きのホームで、3両編成の回送電車を待ちます。
夙川駅に到着した回送電車はいったん停車した後、少し先にある橋の下あたりまで移動していきました。
しばらく止まった後、梅田方面行き線路に入ってきて
梅田方面行きのホーム前で停車します。
と、ここで見えたのは、車両の中を小走りする運転士さん。
そうです。この車両に乗っているのは運転士さん1人だけ。
電車の動く方向を変えるためには、
その都度、車両前方の運転席から後方の運転席まで移動しないといけません!
行ったり来たり、なかなか大変そうです。
そして、北改札前の線路へと入っていきます。
夙川駅に到着してから北改札前の線路までの移動にかかる時間はおよそ4分。
お客様を乗せていなくとも、安全に、確実に運転しなければいけません。
朝日を浴びる阪急電車。
出発の時間までしばし待機です。
そして準備を整え、夙川駅出発の時間になると...
(甲陽線ホームに移動しています↓)
「キィーーーーキィーーーーキィーーーー」
と、金属がきしむような大きな音!!
例の、"使われていない疑惑"のあった線路を、確かに回送電車が通って行きました。
隣の西宮北口駅の今津南線は?
すぐ隣にある西宮北口駅もまた、支線とつながる駅。
今津線の南側のホームは高架になっていて、一見すると、本線とは独立しているように見えます。
もちろんここにも、出入り用の線路があるんです。
駅の構内図で示すとここ。
特急で梅田から三宮方面へ向かうとドアが開く、降車専用ホームの奥ですね。
西宮車庫を出た電車は、4号線の梅田方面行きの線路を三宮方面へ向かって走り(一時的に逆走する)、出入り用の線路に入っていきます。
そして、ゆるやかな勾配を上っていき、高架化している今津南線と合流します。
もし、西宮北口駅で逆走する回送電車を見かけても、驚かないでくださいね。
「あぁ、これから今津線へ出勤するんだな、がんばれ」
と、心の中で応援してあげてください。
まとめ
一見、使われていないと思われていた夙川駅の線路。
まだ街が寝静まっている時間に、電車は毎日、こんな風にしてお客様を運ぶ準備をしていたんですね。
トッコも知らないことがまだまだたくさん。鉄分が高まる取材でした!
最後まで記事をお読みいただきありがとうございます。阪急沿線おしらべ係では、阪急電鉄だけでなく、阪急沿線アプリで連携しているグループ会社(能勢電鉄、阪急バス、阪急タクシー)に対する質問も受け付けています。
みなさんも気になるものや知りたいことが見つかった時は、ぜひ「阪急沿線おしらべ係」まで質問をお寄せください。
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